鍼灸は自律神経の調整に優れた治療法であり、その方法もいくつかあります。
自律神経を整えるのになぜ鍼灸が有効で、どのような方法があるのかご紹介します。
①パルス治療(電気鍼)
まずは鍼に電極を付けて電気をかけるパルス治療で、肩こり、腰痛など筋肉の硬さやギックリ腰や寝違え等、痛みの治療にも使えます。
鍼灸治療では使われる機会の多い治療法なので、受けた方も多いのではないかと思います。
筋線維内に針体を刺入し電気をかけると、筋肉は皮膚に比べ電気の伝導率が低いため筋組織内に電気刺激が入り、筋肉が収縮します。
この時電流は連続で流しているわけではなく、1秒間に1回くらいの間隔で瞬間的に流れます。
そのためトントントン…と一定のリズムで筋収縮が起き、ポンプ作用で筋組織内の血流が改善され筋肉がほぐれ肩こりや腰痛などが解消されます。
またギックリ腰などの時は血流と共に発痛物質が流れ痛みの緩和につながります。
これがパルス治療の一般的な治療ですが、筋肉をほぐすだけでなく自律神経の調整にも応用が利きます。
ツボとツボをつなぎ、電流の流れ方(電気の強さではありません)を変えると手技でツボに刺激を与えるのと同様の刺激となり、ツボの効能を引き出すことが可能です。
また筋肉の過緊張は自律神経の興奮が過剰となっていることがほとんどなので、筋肉をほぐすことで自律神経の鎮静をかけることもできます。
首や背中、胃の裏など、どの筋肉が緊張しているかをみると、体内で何が起こっているかを推察することができます。
例えば首の前側やこめかみ、顎の筋肉の硬さは噛みしめにより起こるためストレスがあるのではないか、背中の緊張は胃腸機能の低下があるのではないかなど、見えない体内部の情報を筋肉を通して知ることができます。
少し専門的な話となりますが、ストレスやイライラは緊張を強めます。
肝気鬱結(かんきうっけつ)と言って、全身の気の巡りを調整する肝がストレスにより昂ぶり、正常な気血の運行ができなくなります。
気血の巡りが滞ると詰まりが生じ、それが血行不良や息苦しさ、時に過呼吸や胃の痛みとして出現します。
この場合気血を巡らすことが最善の治療法で、肝の働きを正常にするツボや気血を流すツボを使い巡りを改善するのですが、筋肉をほぐし血行を改善するのも非常に有効です。
それこそストレスで背中や肩がパンパンに張っている時などは自律神経のツボを使うよりも物理的に筋肉をほぐした方が早いので、パルス治療をメインとします。
このようにパルス治療でも自律神経の調整ができるので、鍼に電気をかけることもよくあります。
自律神経の調整を期待してきたのにパルスかけてマッサージされて終わりでガッカリした…と思わないでくださいね。
「なぜその治療を選択したのか」と言う理由が明確であれば電気鍼でもしっかりと効果が出ます。
治療の際にはお体の状態と、どのような治療法をするかを説明いたします。
パルスの刺激は独特で、トントントンと叩かれるような刺激が入ります。
この刺激は好みの分かれるところなので、もし苦手な場合は遠慮なくお伝えください。