過敏性腸症候群(IBS)の鍼灸治療

過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)とは、大腸内視鏡などの検査で器質的異常が認められないにもかかわらず、腹痛や便通異常が慢性的に続く機能性消化管疾患です。
症状は良くなったり悪くなったりを繰り返し、ストレスや生活習慣の影響を強く受けるのが特徴です。
IBSでは腹痛や膨満感などの「腹痛・腹部不快感」、下痢、便秘などの「便通異常」を中心とした症状がおこり、排便後に症状が軽減する、緊張や不安時に症状が悪化すると言った特徴があります。

 

過敏性腸症候群の主な原因

1. 自律神経の乱れ
ストレスにより交感神経が優位になると、腸の運動が過剰または低下し、下痢や便秘を引き起こします。

2. 内臓知覚過敏
腸のわずかな刺激でも痛みや不快感として感じやすくなります。

3. 腸管運動異常
蠕動運動のリズムが乱れ、便の通過速度が不安定になります。

4. ストレス・心理的要因
不安、緊張、環境変化などが症状を悪化させます。

5.その他
不規則な食事や睡眠不足、スマートフォンやインターネットの長時間使用など生活習慣も影響することがあります。


東洋医学ではIBSは「腹痛」「泄瀉」「便秘」などに相当し、ストレスによる気の停滞が起こる「肝気鬱結」、胃腸の消化吸収力が低下する「脾気虚」、メンタルが胃腸機能に影響を与える「肝脾不和」といった病態が関与すると考えます。

これらの病態に対して自律神経の調整、腸管運動の正常化、内臓知覚過敏の緩和を目的に鍼灸治療をおこないます。
例えば腸機能の調整を目的として天枢、中脘や足三里、上巨虚穴などで腸の蠕動運動と腹部症状の改善したり、自律神経・ストレス調整として百会、神門、内関、太衝穴などで精神的緊張を緩め、腸の過敏反応を抑えます。

その他日常生活での養生として、規則正しい食事と睡眠やお腹を冷やさないこと、軽い運動の習慣化なども大切です。

IBSの強い症状は腹痛や下痢のために電車やバスに乗れない、遠出ができない、トイレが近くにない場所へ行けないなど社会生活や日常生活に大きな制限をかけてしまい心理的負担もとても大きいものになります。
IBSの症状寛解に病院での診察や服薬はかかせませんが、補助的に鍼灸で胃腸機能をサポートしたりメンタルの緊張を緩和することができます。

2026年02月03日