当院の治療内容についてご紹介します。
初めて当院をご利用になる方や、鍼灸治療の内容が気になる方はぜひご覧ください。
中医学理論
中医学と言うのは東洋医学の分類の一つで「中国伝統医学」とも呼ばれ、出ている症状に対し人体を総合的に診て何が原因かを分析し治療法を決めていく「弁証論治」による治療法が特徴です。
例えば難聴や耳鳴であれば耳に原因があるから耳の周囲に鍼を打つと言うわけではなく、難聴や耳鳴を起こしている原因を体全体を診て探り出し、その原因に対してアプローチします。
耳の症状を起こしている原因が経絡の阻滞によるものであれば経絡の走行ラインに鍼を打ち気血を通し、痰湿や気滞によるものであれば手足のツボを使い体内の水を捌き、気を巡らす治療をおこないます。
妊活であれば不妊の原因が子宮内膜症やホルモンバランスの乱れと言った場合でも、その原因が全身の巡りの不調により起こっていたり、瘀血によるものであればそれらを改善させる治療を行い正常な妊娠を阻害している要因を取り除いていく治療となります。
直接お腹にお灸や鍼をやるだけでなく、全身からアプローチするため足や手、背中のツボや経絡を使用します。
鍼灸の治療方針は西洋医学的所見を参考にしつつ東洋医学的所見で決定するため、病院での検査結果や治療内容などは参考にしますが鍼灸治療にそのまま使いません。
検査結果や数値などを軽くお聞きするだけですが、それは検査結果を軽視しているわけではなく治療方針を決めるのは東洋医学的所見になるためです。
李家伝統鍼灸
当院のメインとなる鍼灸治療の方法で、中医学理論を基礎に李家伝統鍼灸と言う流派の手技を加える鍼灸術です。
FD、難聴、パニック、ストレス、自律神経症状や妊活などの症状で用います。
李家伝統鍼灸の特徴は「少にして精」の鍼です。
弁証論治により治療方針を決定し、厳選したツボに鍼を打ち回転操作を加え人体の内部環境を変化させるのが鍼灸治療の目的となります。
鍼刺激をしっかりと伝えるためには少数の鍼で明確な信号を入れる必要があるため、使用するツボは最小限としています。
「思った以上に鍼が少なかった」とか「これしか打たないで効くの?」と思われるかもしれませんが、少数精鋭の鍼を打つことで人体の反応を促す明確な刺激となり治療効果へ結びつきます。
李家伝統鍼灸のもう一つの特徴は鍼の操作方法です。
ツボに鍼を打ったあと回転操作を加え、ツボの刺激を増強します。
回転操作中はトントントンと響くような刺激を感じますが、不快な痛みとならないように注意しておこないます。
これは補瀉手技と言って、気血や経絡の状態を診て実証(詰まり、過剰)であればそれらを取り除く瀉法を施し、虚証(足りない)であれば補う補法を施す手技です。
この補瀉手技をおこなうことで体内のバランスを調整し、正常な状態に戻していきます。
この補瀉手技は足や手、お腹、背中など全身のツボで行い、特に自律神経症状や妊活などの鍼灸治療では必須となります。
電気治療(パルス治療)
筋肉に打った鍼に電極を付け、電気をかける治療法です。
慢性の肩こり、腰痛、頭痛、ギックリ腰などで用いる方法で、硬くなった筋肉をほぐす目的でおこないます。

慢性の肩こりや腰痛は筋肉の血行不良による硬さにより起こり、硬い筋肉に過剰な負荷がかかると筋線維を損傷し、寝違えやギックリ腰となります。
鍼を筋組織内に刺入し電気刺激を加えると、電気により筋収縮が起こりポンプ作用により血行が改善されます。
電気刺激はビリビリでは無く、トントントンと叩かれるような刺激が入ります。
刺激の感じ方は人それぞれであり、強ければ効くと言うものではありません。
刺激が強すぎると緊張や痛みを我慢するため力が入り、余計に筋緊張が強くなったり痛みを出してしまうことがあります。
刺激量は調整できるのでリラックスして受けていただく程度が最適刺激です。
突発性難聴や自律神経の治療でも必要に応じパルス治療を組み入れます。
吸い玉
吸い玉はガラス玉の内部を真空状態にし皮膚に置き、皮下組織や筋を吸い上げる治療法です。
毛細血管や経絡を広げるため自律神経治療や疲労性治療の両方で用います。

自律神経治療では背骨沿いにある督脈に置き、督脈の通りを改善する目的で使うことがあります。
督脈は腰から背中、頭まで走行する経絡で、背中が詰まると頭部に気血が巡らずメンタルの不調や睡眠への影響が出ます。また脳は臓腑全体を統括するため他の臓腑の不調へとつながります。
督脈を通すのは自律神経の調整に有効な手段で、治療の最初に行います。
疲労性(肩こり、腰痛)では鍼刺激がどうしても苦手な方や、筋緊張が強すぎて鍼刺激が痛く感じる時に用います。
吸い玉の唯一の欠点としては跡が付くことです。
血行不良に比例して赤黒い跡がついてしまうので、気になる方はお申し出ください。
刺絡抜罐(しらくばっかん)
刺絡(しらく)は鍼と吸い玉で瘀血や体内にこもった熱を取り除く療法です。
鍼で微小な穴をあけてそこに吸い玉を置き、瘀血や悪熱を除去します。
鍼はランセットを使用するので痛みはありません。
刺絡抜罐をおこなうツボは1~3か所ほどで最小限にとどめます。
熱がこもることで起こる頭痛、めまい、不眠など自律神経症状で使います。
こちらは吸い玉と併用することが多く、治療の最初におこないます。
井穴刺絡(せいけつしらく)
こちらは井穴と呼ばれる手足の指先にあるツボから刺絡をおこなう療法です。
爪の付け根付近に鍼で微小な傷をつけ血を絞り出す療法で、交感神経・副交感神経の抑制や興奮に働きかけます。
感覚の鋭敏な指先に鍼を打つためやや痛みを感じることがあります。
井穴刺絡を用いることは当院ではあまりありませんが、多くの症状に対応できる療法です。
盤龍刺(ばんりゅうし)
首から腰まで背骨の際に沿って鍼を打つ手法です。
左右交互にジグザグに打った鍼が龍のように見え、その鍼を腰から首へ向け刺激を入れることで響きが昇ることから盤龍刺と名づけられました。
髄海(脳)の滋養に有効な治療法で、不眠や気分の落ち込み、不安感、パニック症状などメンタルの不調に用いる刺鍼法です。
お灸
お灸はイメージ通り温熱刺激により温める治療法で、自律神経の乱れによる冷えや血行不良、精神疲労、下痢などの胃腸症状、妊活で用います。
逆にストレスが強い、強い不眠、ホットフラッシュがある、のぼせやほてりがあるなど熱がこもっているような症状では余計に熱を煽り症状が悪化することがあるのでお灸は使用しません。

当院で使用するお灸は、網の上にもぐさを載せその空間の熱で温める「温灸」と、紙製の台座の上にもぐさを載せた台座灸を使用します。
温灸は背中やお腹など広い面を温め陽気を賦活させたり胃腸などを温めるために使用し、台座灸は手足のツボにピンポイントで熱刺激を入れる時に使用します。
温灸はほんわか温かいのに対し、台座灸はギュッと痛みに近い熱さを感じます。
どちらもやけどにならないよう細心の注意を払いおこないます。
食養生
体質や症状の改善には食事の是正が必要な時もあります。
胃腸症状が強い時は辛い物や油っこいもの、冷飲食を控える必要がありますし、不眠やメンタルの不調ではアルコールが悪影響を及ぼしていることもあります。
また妊活では腎気を高める食材を摂っていただくことで、日々の食事が妊活そのものになります。
食養生は薬膳の考え方に基づいた食事内容の見直しのアドバイスをいたします。
人体の気血、骨、筋肉などすべてのものは飲食物から構成されていると言っても過言ではなく、症状の緩和・改善にとても重要です。
漢方薬アドバイス
症状によっては鍼灸と漢方薬を併用すると効果が高まり治癒への近道となる場合もあります。
中医学では弁証論治により処方される漢方薬が決まります。
証(体質のようなもの)にピッタリ当てはまると漢方薬は高い効果を発揮し、即効です。
鍼灸治療では弁証論治により証を決定して治療方針を決め、同時に漢方薬も決まります。
当院では漢方薬の販売は行っておりませんが、適切な漢方薬のアドバイスや今服用中の漢方薬が合っているかなどのご相談が可能です。