自律神経失調症

自律神経失調症とは?

自律神経とは、呼吸や心臓の鼓動、睡眠や食欲など、生命活動に必要なことを24時間絶え間なく自動で動かしてくれる神経のことです。
自律神経には交感神経と副交感神経の2種類の神経があり、この2つがうまく切り替わることで睡眠や発汗、体温調節や食欲などのバランスを保てます。

 

自律神経失調症は、自律神経の正常な働きが失われた状態を言います。
そのため普段なら眠れるのに夜眠れない、汗が止まらない、身体の冷えやほてり、運動をしていないのに動悸や息切れがする、食欲が全くないなどの様々な症状が現れます。


自律神経が乱れる原因

①ストレス
ストレスは様々な疾病の原因となるやっかいなものです。
適度なストレスはほどよい緊張感を与え、やる気や生活のメリハリが出ますが過度になるとからだに悪影響を及ぼします。
また仕事でミスしてはいけない状況など、緊張状態が長期間続くこともストレスから体調を崩す原因となります。

②ホルモンバランス
ホルモンは人間の体温や血圧などを一定の状態に保つ役割があります。
しかしホルモンバランスが崩れると体が通常の状態を保てず、冷えやのぼせ、高血圧や低血圧などの自律神経の乱れを引き起こします。
特に女性は生理や閉経などホルモンバランスの影響を受けやすい傾向にあります。

③天気・天候
最近では気象病とも言われますが、天気や気圧なども体に影響を及ぼします。
雨の日や台風の前に調子が悪くなる方も多く、近年ではゲリラ豪雨や爆弾低気圧など激しい天候の変化で、耳鳴や頭痛、目まいを訴える方も増えてきています。

④生活習慣
睡眠不足、運動不足、食生活の乱れ、お酒やたばこ、甘いものなど嗜好品など生活習慣も自律神経に影響を与えます。
時にごろごろしたり好きなものをたくさん食べるのは問題ありませんが、習慣化してしまっていると問題です。

 


自律神経失調症の症状

①体の症状
・めまい、頭痛、耳鳴り。
・動悸、息切れ、過呼吸。
・噛みしめ、全身の緊張、筋肉の硬さとコリ。
・冷え、のぼせ、汗が出る、寝汗が多い。
・食欲がない、胃痛、下痢、便秘。

②こころの症状
・イライラする、怒りっぽくなる。
・不安、急に落ち込む、マイナスな考え方ばかりになる。
・やる気がでない、外出や遠出ができなくなる。
・集中力がなくなる、考えがまとまらない、忘れっぽい。

③疾患名
・機能性胃腸症(ディスペプシア)、過敏性腸症候群(IBS)。
・起立性調節障害。
・パニック障害、不安神経症。

このほかにもいろいろな症状が考えられます。


鍼灸治療で効果が出る理由

自律神経の交感神経と副交感神経は東洋医学の「陰陽」の関係にとても良く似ています。
活動的な時に働く交感神経は「陽」、安静時に働く副交感神経は「陰」で、
東洋医学の基本はこの陰陽のバランスを整える点にあります。

例えばストレスが強くて耳鳴や頭痛、噛みしめなどがあり、のどが詰まる感じ(ヒステリー球)がある時は、陽がとても強くなっている状態です。
このような症状は鍼で過剰になっている陽気を抜いて、巡らしてあげる治療になります。
膨らみ過ぎた風船を針で穴を空けて空気を抜くようなイメージです。

また体の冷えが強く元気が出ない、下痢を繰り返す、冷たいものを食べると胃痛がでると言った症状は逆に陽が弱り切っている状態で、この場合はお灸を中心に陽気を補い、温める治療となります。

このように陰陽や気血の調整を行い体全体のバランスを整えていくため、鍼灸治療で自律神経失調症をはじめとした多くの症状に対応できるのが当院の特長です。


鍼灸治療の内容

鍼灸治療は患者様ごとに症状や体質、症状の経過などにより治療内容が変わるので一律の治療法はありませんが、一例をご紹介します。

1.イライラが強く、めまい、頭痛がする場合
イライラを鎮め頭に登った陽気を抜いていく治療です。
①うつ伏せで首や肩に鍼を刺し、10~15分ほど置いておきます。
②仰向けで頭頂部、眉間、手首の内側、足の甲に鍼を打ちます。
③手足の鍼を回して少し刺激をいれ、20~30分ほどおいておきます。
④最後に頭の筋肉を緩め治療終了です。

 

2.冷えが強く胃痛がある。食欲が無く不眠の場合
体を温めながら胃腸の機能を取り戻す治療です。
①うつ伏せで背中にお灸を載せ背骨沿いを温めます。同時に背中に鍼を打ち10分ほど置きます。
②仰向けで胃腸をお灸で温めながら、頭頂部、眉間、足のスネに鍼を打ちます。
③お灸は熱さを感じるまで数回繰り返しますが、冷えが強い方は熱さをほとんど感じません。足の鍼に回す手技を加えたり、電気をかけるなどで胃腸のツボに刺激を入れます。
④仰向けの鍼は20~30分ほど置いておき、最後に足と眉間のマッサージをして治療終了です。

 

鍼をツボに打ち、10~30分ほど置いておく治療がメインとなります。
必要な時には、鍼に電極を付け通電するパルス治療も併用します。