アトピー性皮膚炎と鍼灸②

アトピー性皮膚炎の鍼灸治療をご紹介します。
アトピーに鍼灸が効くと言う論文や医学的証明はありませんが、どうしてもつらくてダメ元で鍼灸治療を受ける方は多くいらっしゃいます。
また鍼灸治療を受けてから症状が寛解したり痒みが治まることもあるので、全く無意味な治療では無いと考えています。

 

鍼灸治療では症状の出ているところに鍼を打ちます。
①で書いた通り、症状が出ている皮下に気血や痰湿が停滞しているので、それを流すことで皮膚を自然の状態に戻す治療です。
あまりに痛みが強い場合は患部を避けますが、基本的には患部に打つと考えてください。
これは症状に対する対処療法(標治法)になります。

標治法のあと、もしくは同時並行で気血や痰湿が阻滞しないよう、体全体の巡りを改善する治療をおこないます。これが本治法です。
本治法では手足のツボに鍼を打ち、15~30分ほど置いておくことでツボの効果を引き出し体にその信号を送ります。

アトピーの治療でお灸はほとんど使いません。
肌に炎症が起こっている状態は字のごとく同時に熱症状が出ていることがあるため、お灸でさらに熱を入れると症状を悪化させるおそれがあるためです。

鍼灸治療後は一度肌の状態や痒みが悪化する場合がありますが、これは失敗や異常ではありません。
そこに滞っていたものを流す時には必ず反動がきます。
その反動が落ち着いたあと、自己修復力で肌の状態が戻ります。
便秘が続くと排便時に腹痛があるようなもので、その時はつらいですがそのあとは楽になります。

 

症状や体質により治療内容は変わりますが、アトピーの鍼灸治療の流れとメカニズムはこのようなものです。
症状が強いときは週2回で集中的に治療が必要ですが、寛解期は2週に1回のペースで治療を続けましょう。
寛解期は本治法で、アトピーの原因となる気血や痰湿の阻滞を取り除き胃腸の働きを上げるなどの治療をしっかりおこないます。
また食養生も大切で、食事や日常生活なども見直さなければいけない場合もあります。

少しでもつらい症状が改善するよう、病院の治療を並行して鍼灸治療を続けてみてください。

2023年05月02日