ストレスからくる突発性難聴

突発性難聴の原因の一つである「ストレス」

ストレスでなぜ難聴の原因となるのか。
また鍼灸でどのように治療していくのかを東洋医学の観点からお伝えしたいと思います。

体の中には気や血が一定の順路で流れていますが、急激に強いストレスがかかったり嫌なことが長期に渡って続くと体の中の巡りが乱れます。
気血の巡りが乱れるとは、速くなりすぎるか詰まってしまうかのどちらかの変化として現れます。
速くなり過ぎた場合は過呼吸や動悸、息切れなどの症状として現れ、詰まった場合は息苦しさや過緊張、喰いしばりなどの症状として現れます。

 

突発性難聴を引き起こすのは巡りが詰まってしまった場合です。
耳の周りには経絡がグルッと取り囲っており、その経絡が詰まることで耳の穴がふさがれて音が聞こえなくなります。
また穴が塞がれることで自分の声や周囲の音が耳内で反響するため、耳鳴の症状が出ます。
耳閉塞感が出るのは、経絡が詰まったためです。

イライラや怒りっぽいなどが長期に渡って続いていると、詰まった気血が熱を帯びて経絡を焼いてしまい耳の経絡がふさがってしまいます。

この経絡の詰まりを鍼で取り除くのが鍼灸による突発性難聴の治療となります。
また上記のように耳鳴や耳閉塞感も経絡の詰まりが原因であるため、鍼灸で同時に治療が可能です。

首や肩、側頭部などにある耳に入る経絡へ鍼を打ち、詰まった経絡を通していきます。
イメージとしては詰まった水道管の途中にあるマンホールから詰まったものを取り除く感じです。
水道管が経絡でマンホールが経穴(ツボ)です。
詰まっているものを取り除くための穴は複数あった方が効率が良いため、鍼の本数も多くなります。
頭や耳の周囲だけでなく、手足にも耳のツボがあるためそこにも鍼を打ちます。
手足のツボは空気穴のような役割で、長い経絡の端に鍼を打つことで局所だけに打つより通りが良くなります。


詰まった経絡を通す。
これが突発性難聴の鍼灸治療となります。
ストレスからくるタイプの突難は熱を帯びることが多いため、お灸は使いません。

鍼灸も万能ではないので突発性難聴のすべてを治せるわけではありませんが、症状緩和のお役には立てると思います。
経絡が流れるまで数回の治療が必要なので、週2回ほどが治療の目安となります。

突発性難聴は3ヶ月で症状固定となることが多いため、短期集中でしっかりと治療していきましょう。

2023年06月13日