過敏性腸症候群(IBS)

IBSの原因と症状

過敏性腸症候群(IBS)は腹痛や下痢、便秘を慢性的に繰り返す病気です。
原因ははっきりと分かっていませんが、ストレスや食事、ホルモンバランスが影響しているとも言われています。

IBSは小腸、大腸などの内視鏡検査や血液検査などで明確な原因が見つけられないのに排便異常や腹痛があらわれると言うのが特徴で、痛みの部位が胃か腸か、吐き気か排便異常かの違いなどがありますが機能性ディスペプシアとよく似ている疾患です。

 

東洋医学で考えるIBS

IBSは脾の運化機能の失調が主な原因と考えます。
脾は飲食物を消化吸収する作用全体を指し、運化とは飲食物を運搬・変化させる機能のことです。
胃で消化した飲食物を気や血と言った精微物質に変化させ体全体に運搬するのが脾の働きで、これが低下することを運化の失調と言います。

変化させることができなくなるので気血が作られず、疲労感や倦怠感、集中力低下、メンタルの不調があらわれ、飲食物を正常に運搬できなくなるため下痢や便秘と言った排便異常、消化不良、腹脹、腹痛と言った消化器系の症状が強く出ます。

脾と胃は表裏一体で脾胃の症状は同時に出ることも多いため、IBSでもFDでも脾胃共に治療することが多くなります。

 

IBSの鍼灸治療

脾の運化機能を上げる治療がメインとなります。

下痢型と便秘型でさらに治療法が異なり、混合型の場合は下痢と便秘のどちらが強いかで判断します。

腹痛や下痢などの症状がストレスや情動情緒の変化により起こるものであればメンタルへのアプローチも行います。
鍼灸治療自体でストレスが軽減したりメンタルを回復させることは難しいですが、それによる症状の軽減や耐性を上げることは可能です。


日常生活について

FD、IBSに共通して言えることですが胃腸疾患において食生活の改善は必須となるので、食養生のアドバイスをいたします。

特にお酒、炭酸飲料、冷たい飲食物、油っこいもの、辛いものなど刺激物、過食は症状軽減の妨げとなります。
どんなに鍼灸治療をしたところで胃腸に入ってくる飲食物が悪いと治療効果は出ないので、基本的には上記のものは禁止と思ってください。
胃腸に良いものを食べるより、胃腸に悪いものを食べない方が胃腸の負担はグッと減り治癒への近道となります。


通院期間と頻度

症状の強さや発症からの経過年数によりますが、初回から3~5回目くらいまでは1週間に1~2回が目安となります。
症状軽減などの変化がみられたら、2週に1回くらいに間隔を空けていきます。
あくまで目安であり、症状によっては治療間隔や頻度は異なります。