妊活・不妊症

不妊症

日本産科婦人科学会では妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間(1年間)妊娠しないものを不妊と定義しています。
不妊症の原因は男性・女性または両方にある場合もありますが、何も原因が無い場合もあります。

 

男性側の原因
造精機能障害(乏精子症・精子無力症・奇形精子症)
膿精液症
精索静脈瘤
性機能障害(勃起障害・射精障害・逆行性射精)

女性側の原因
子宮トラブル(子宮腺筋症・子宮筋腫)
卵巣・卵管トラブル(卵管炎・卵管狭窄、閉塞・チョコレート嚢胞)
排卵障害(多嚢胞性卵巣症候群・高プロラクチン血症)
受精・着床トラブル

その他、ホルモンバランスや免疫系統のトラブルが原因となる場合もあります。

 

プレコンセプションケア

プレコンセプションケアとは「妊娠前の健康管理」と言う意味で、WHOは2012年に妊娠前の女性とカップルに医学的、行動学的、社会的な保険介入をおこなうことと定義しています。
プレコンセプションケアは、近々妊娠したいと考えている女性だけでなく、思春期以降、妊娠可能な年齢の前女性に必要なものです。
プレコンセプションケアの考え方は、予防医学ともいわれる東洋医学ととても相性が良く、体のバランスを整えることで不調を改善し、食事や運動、普段の生活習慣を見直すことで自然治癒力を向上させる東洋医学の考え方そのものと言ってもいいでしょう。

当院の鍼灸治療・アロマトリートメントでは体質改善を目的とした食養生や日常生活へのアドバイスをおこなっており、それはプレコンセプションケアへとつながるものです。


東洋医学で考える不妊症

五臓六腑の「腎」が生殖に関わっており、青年期に入ると腎中の精気は「天葵(てんき)」と言う生殖機能の成熟を促す物質を生み出し、男性は精子の産出、女性は月経が始まり生殖能力が備わるようになります。
男性は8の倍数、女性は7の倍数で体が変化していくので、天葵の発現は男性が16歳(8×2)、女性は14歳(7×2)となっていますが、現代ではそれぞれ3~4歳ほど前倒しになっています。
腎気が最も旺盛になるのは男性32歳(8×4)、女性28歳(7×4)で、男40歳(8×5)、女35歳(7×5)からは腎気は衰えていくようになり、一般的に高齢出産が35歳以上と言われるのと一致しています。
女性は生理開始時期の年齢が下がっているため、腎気のピークも3~4歳ほど下がっているかもしれません。

 

女性の月経には経絡が深く関係しており、衝脈・任脈と言う経絡から血が胞宮(子宮)に集まり血が満たされると生理が始まります。
胞宮に影響を与える肝・心・脾と言う3つの臓があり、それぞれ「血を貯めておく」「血を巡らす」「血をコントロールする」機能があります。

経絡が詰まったり臓腑機能が低下することで本来の働きができなくなり、月経困難症や不妊症などを引き起こします。

経絡が詰まる原因
冷えて経絡が縮こまって流れが悪くなる。
瘀血が溜まっている。
むくみが溜まっている

臓腑機能が低下する原因
疲れ、強いストレス
飲食の不摂生、アルコールの摂りすぎ
運動不足
喫煙習慣

このように東洋医学では不妊症を疾患名やホルモンバランスなどで考えることは無く、臓腑や経絡の問題を取り除くことで正常な状態にすることを目標とします。
鍼灸治療では経絡の詰まりを取り除く、臓腑機能を高めると言ったことで本来の状態に戻し正常な妊娠へとつなげていきます。

 

鍼灸による妊活・不妊治療

妊活鍼灸は西洋医学的な検査や疾患の治療ではありません。
体質改善をメインとした、妊娠しやすい体作りをサポートします。

妊活の体質改善とは
1.内臓を活性化させて、腎気を高める。
2.リンパや血行を改善し、むくみや老廃物(瘀血)を流す。
3.隠れ冷え性を改善し、子宮内の環境を整える。

 

1.腎気を高めることは妊娠・発育に必要なエネルギーを高めることと同じで、スムーズな妊娠出産につながります。
また生命エネルギーでもある腎気はあればあるほど良いと考えられているため、疲労回復や生活の質の向上につながります。

2.痰湿や瘀血と言った病理物質が経絡に詰まるとむくみや血行不良を引き起こし、重い生理痛や生理不順の原因となる子宮の冷えにつながります。

3.子宮の冷えは手足の冷えと違い自覚しにくい「隠れ冷え性」です。
子宮が冷えると言うことは冷たいベッドの上に寝るのと同じで、卵にとってはとても居づらい環境です。
子宮内の環境を整えるために血行を改善し温めることが大切です。



妊活鍼灸

鍼灸治療では経絡の詰まりを取り除き全身の巡りを改善する、冷えを取り除く、腎気を補うなど、体質を診て最適なツボに鍼やお灸をおこないます。

ツボは体の治癒力を引き出すスイッチのようなもので、そこに鍼を打ち操作を加えることで体にツボの効果を引き出す信号をおくります。
特に婦人科系で重要なツボは…

・三陰交(婦人科の必須穴。血に作用する)
・太谿(生殖に関係する腎の重要穴)
・陰陵泉(胃腸を強くし、むくみを取る)
・子宮(卵巣、子宮の付近に位置し、妊活治療の必須穴)
・関元(体を温め気を補う)
・八髎穴(仙骨にあり、裏側から子宮を温める)

婦人科系の重要穴はお腹、腰と足首に集中していて、冷えが強いタイプの方にはお腹や腰をお灸で温めることが治療のメインとなりますが、瘀血や気滞など詰まりが強いタイプの方には鍼で気血を巡らす治療がメインとなります。

 

 

妊活アロマ

アロマトリートメントはむくみによる経絡の詰まりに効果があります。
むくみは痰湿と呼ばれる不要な水分で、水は下半身に溜まり冷やす性質を持ちます。
下腹部や腰の冷えは内臓へ影響を及ぼし、子宮や卵巣を冷やすと考えられます。
原因不明の不妊症は冷えが原因であることが多く、冷えを解消する為にむくみを取り除き、温め、流すことが必要となります。

当店では五臓に対応した神気オイルを使用しており、「采(さい)」と言う腎に帰経するオイルを使い腎気を高めます。
「采」は婦人科系に効能があり、生理痛や生理不順でお悩みの方に采でトリートメントすると生理痛の軽減や生理周期を整える効果があります。

 

ストレスやイライラが強くリラックスしたい方には「脈」や「定」などのオイルを組み合わせることもできます。
神気オイルの芳香作用はリラックス効果がとても高く、ストレスが強く緊張状態が取れない、イライラや疲れが抜けない方におすすめです。

不妊治療にはストレスが大敵です。 さまざまな問題や悩みで考えすぎたり不安になることもあると思いますが、メンタルの不調は体にとっても負担とデメリットが大きいので、少しでもリラックスできるようお手伝いいたします。

 

時間・料金

妊活鍼灸治療   75分 6,600円
妊活アロマ    90分 9,900円

妊活アロマはホットペッパービューティーからご予約ください。


 

治療のタイミング

妊娠を希望している方は、治療は早ければ早いほど良いです。
理由は上記の「腎気」にあります。腎気にはピークがあり、そこを過ぎると徐々に減っていきます。
腎気を補うことを補腎と言いますが、補腎をすればピークを延ばすことができたり腎気を強くすることも可能です。
しかし、腎気は1,2回の治療ですぐに強くなるものではありません。
筋トレやダイエットと同じで変化が出るまでに時間がかかります。
どのくらいの時間がかかるかは、その方の生活習慣や食事内容、治療頻度により差がありますので、お早めにご相談ください。

 

体外受精や人工授精の治療中の方へ

現在治療中の方も鍼灸治療、アロマトリートメントを受けられます移植後の治療、施術はおこないません。
そのため体外受精をされている方や検討している方は、採卵前や移植前に鍼灸治療を受けることをお勧めいたします。

理想的な流れとしては採卵前1ヶ月前から治療を開始し、腎気や血の巡りを改善するのが良いでしょう。
また移植前も1~2ヶ月前から1~2週間に1回ほどの治療で、血を増やしたり冷えを取り除くなど体内の環境を整えることができればベストです。

 

妊活鍼灸治療の実績(患者様のお話しであり効果を保証するものではありません)

29歳  隠れ冷え性


1年半不妊治療をしており体外受精の段階で、これまでに2回体外受精をしたが着床に至らなかった。
今回、胚移植の前に初めて鍼灸治療を試してみようと来院。
手足の冷えはなく本人も冷え性の自覚が無かったが、隠れ冷え性と判断しお灸を中心とした治療を行う。
1回目の鍼灸治療後すぐに胚移植だったが、着床しなかった。

2回目の鍼灸治療の時に体質改善と子宮内の環境を整えるまでには少し時間がかかるとお伝えし、2週間に1回のペースで鍼灸治療を計画。
3回目の鍼灸治療後に胚移植の予定。次回の鍼灸治療は胚移植の結果を待ってからとお伝えしました。

約2週間後の検査で妊娠判定。

鍼灸治療回数:3回
鍼灸治療期間:約1ヶ月

当院の妊活鍼灸治療の中でも最も早い結果となりました。


 

37歳 妊娠しやすい体作り


不妊治療を始めたばかりで、病院の検査では異常無しと診断。
タイミング療法からスタート。
特に不調も感じていないが、高齢出産に入ると言われて妊娠しやすい体作りのために来院。
鍼灸は以前から肩こり腰痛などで受けたことがあるが、妊活鍼灸は初めて。

冷えは強くないが肩こりなど筋肉の緊張が強く、仕事でストレスもあるとのこと。
全身の筋緊張を取りつつ、お灸で仙骨や子宮穴を温め血流改善をはかりました。

仕事が忙しいため定期的な来院はできないものの、1ヶ月に1~2回ほどの頻度で鍼灸治療を行い約2ヶ月、6回目の鍼灸治療後に妊娠されたとご報告がありました。

鍼灸治療回数:6回
鍼灸治療期間:約2ヶ月


 

34歳 食生活の改善で妊活に成功


体外受精をおこなっており、移植は4回目。
漢方薬も飲んで鍼治療も行っていたが、効果がなかなか出ない上に高額で通うことが難しい。
病院も3回ほど変えており、うまくいかないことに焦りと不安がある。

仕事のストレスやイライラが強く、不妊治療もストレスとなっている。
イライラによる頭や顔の熱を抑えつつ、自律神経を整え、ストレスからくる巡りの悪さを改善する治療を行う。

漢方薬も弁証を取り直し、今の状態にあった漢方薬を提案し変えていただく。
足の経絡上の冷えが強いため脾経、腎経にお灸をして経絡から内臓を温める。

4回目の鍼灸治療の4日後が移植の日。
食養生として養血類を多く摂ってもらうようにアドバイス。
この移植では望んだ結果とはならず、鍼灸治療が少し空いた。

4回目の鍼灸治療から3ヶ月後に5回目の鍼灸治療。その2日後に移植。
この移植で妊娠。

途中鍼灸治療の期間が空いてしまったが、日常生活のアドバイスなどを守っていただき鍼灸治療がうまくいきました。

鍼灸治療回数:5回
鍼灸治療期間:約5か月


43歳 二人目不妊(不育症)


二人目不妊のご相談。一人目の時は自然妊娠したが、二人目では3年以上不妊治療を行っている。
着床しなかったりうまく育たず、病院では不育症と言われた。

不育症は腎気不足であることが多く、年齢なども考慮して長期戦になることをお伝えしました。
体力をつけて妊娠出産に必要なエネルギーを貯え、準備することが近道と考え、急がば回れで治療計画を立てました。
体外受精もしばらく休んで体の回復を待つことに。その間に鍼灸で自律神経を整え腎気を高める治療を2週間に1回のペースでおこなう。

治療開始から半年後に移植したが着床しなかった。
鍼灸治療は2週間に1回のペースで続けて、その3か月後に再度移植。
着床したがそれ以上育たなかった。

鍼灸治療を続けつつ3か月後に採卵。卵のグレードが良かったということで、採卵の2か月後に移植。その移植で妊娠となった。

1年ほど続けた鍼灸治療で体が整い、体調が良いときに採卵したのが良かったのだと思います。

鍼灸治療回数:21回
鍼灸治療期間:1年2ヶ月