花と憎悪と憧憬と。そのどれもが夢で、残酷なまでに真実だった。
残 花
亡国の麒麟の見果てぬ夢の一つはひたすらに祈りに近しい願いを断絶するしかなく、もう一つはひたすらに自分以外の代償を拒む。王座を望んだはずだった者は奥底に潜む心の楔に身悶えし、彼を支える者、ある者は傍観の立場を背負い、ある者は過去の影を追い、またある者は自身の存在を疎ましく情けなく、それでもなお足掻くしかない。地の彼方からの呼び声。民の哀切な叫び。逃げることは出来た。世界を愛さなければ、それで。
果たしてそれは天命だったのか。
本編
第一章 細波の祈り 一 二
第二章 星屑的夢想 一 二 三 四
第三章 桜の森の満開の下 一 二 三 四
第四章 殉教 一 二 三 四
第五章 邂逅 一 二 三
第六章 迷走 一 二 三 四 五 六 七 八 九 十
第七章 守りたかった人 一 二 三 四
終章 花桶の追想 一 二 三
(全三十四話完結)
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