モンスターメーカー二次創作小説サイト:Magical Card

17.悪口



「不埒なゴブリンども!!」ノーラの耳はぴくりと立った。

「下賎なおまえたちには焼き打ちの味が甘美に思うらしいな。衛兵がやって来たが最後、ブルガンディにゴブリンの居場所は今度こそ消失する。それまで覚悟を決めておくといい。いいや、テイビルケどころかメーラの御元にさえ辿りつけなくなるだろうさ!」酷い悪口がノーラの耳へ次々届けられる。

「うぉーい、おっちゃーん!」ノーラは馬車の壁の向こうへ叫びを投げつけた。ゴブリンの石斧に囲まれている最中としては嬉しい援軍だったが、先に壁を越えたキマールは悠々と機をうかがっていたに違いないと思う。

「ノーラ嬢、無事か」

「無事で悪かったねー。あたいはここで犠牲になるからあ、のんびりと衛兵を案内したらいいよぉ」とはいえ、懐中のゴブリンの青年コーモのことは大事に抱えている。(シーフならもっともっともっと急いで衛兵さんたちを集めてから来たらいいのにさ!)

 数名のゴブリンが馬車馬に駆けよって轡を取り始めた。ゴブリンたちの前にいまいましく肥えたシャーズの貴族の姿が再び現われて、通路は出来上がった。

「ノーラを返してもらうぞ、小鬼ども」キマールとゴブリンが衝突しようとする、「おのれ、数が多すぎる」とキマールは早くも踵を返した。

 ノーラは臭い芝居を見せられた。ゴブリンのパーティをなるべく大勢持っていくために衛兵を用意しておかなかったようである。彼らはもうレイピアと自転車に人員を割く余裕もなかった。ノーラはため息をつく先に自分に残された仕事を片付けようと思った。