「キマールのおっちゃんも大好きだよ。告げ口はよしてね。親父、身体の方はまるで丈夫なんだ。戦勝会を何度も何度も開いてお友達の船乗りと飲んだくれてたんだから。馬鹿みたいに嬉しそうな大口開けてさ。あたいもパーティー疲れしちゃったよ」 キマールもこれには失笑した。「どっか笑うところあったあ? そういや、パーティーで思い出した。もっと昔におっちゃんとも確か会ってたよ。良かったね」 「ああ良かった良かった」キマールは素っ気なく言った次に、「今日は何曜日だったかね」 「なんでわざわざ聞くのさ? ありゃ。何曜日だったっけか?」ノーラは再びかぶりを振って豊かな金髪を輝かせた。シャーズの目は食事の店に止まった。 「あー、お寿司が値下げやってるう。セテト様の日だ」シャーズの娘は魚を摂る喜びに輝いた、と見えれば急転直下、「しまった、小遣い忘れた! アルシャは小銭に崩さず使えと言われてんだから! にゃんでセテト様の日に不幸に見舞われてんの!」 「なにか知らんが大声で言って良いことと思えんな。わたしが奢ればいいんだろ」「あっ、一気に幸運にひっくり返った」 キマールは一人で寿司屋に入ってゆくのでノーラは首を傾げる。奇妙に細い荷車を片手で支えたままノーラがしばらく首をかしげていると折詰めを手に出てくる。 「さあ、馬車を走らせながらゆっくり食べよう」「は? なんでさ」 「平日なのに曜日の分からないくらい海軍学校をさぼって、提督のお父さんの顔に泥を塗るつもりかね。お父さんと三人で話し合いをしようじゃないか」 「いーっ」ノーラはわけの分からぬ様子。 |
|