モンスターメーカー二次創作小説サイト:Magical Card

14.お食事



「転がりながら女たちにお世辞を言ってツケをばんばん積み立てやがって、てめえ情けなくねえの?」

「カネを使わずに物を増やしていくのがあっしらの基本……」

 ペルタニウスの目の前の満月は困った笑みを湛えてぼんやり光っている。「女の子の前でいい格好ができるんスからお得でしょう。後輩に気前のいいペルタニウス先輩でござい。今度《ハサミガニ亭》でそれをするのはどうでござい?」そこまで言い終わってハッタタスは身構えさせられた。

「ふん」ペルタニウスは立てたナイフを取り下げた。「てめえ一人でアルシャをはたいて食ってこい。俺は肉の仕込みがまだまだだ。ずばずばと念入りに切り刻んでやるんだからな」ナイフを構えながら台所へ入ろうとする。

「一人で行ったって楽しくないっスよ。女の子の顔を見ながら食事がしたい」

「じゃあ女に頼めってんだ……。ハーンの爺さんならお前の顔でさえ喜ぶぜ」

 ハッタタスはいそいそと先回りしようとするが、ペルタニウスは態度も冷たくかわす。地下室の燻製は入り用ではなかったらしい。「だから女の子って言ってるでしょ……。あの人、飲んでばかりだからこっちが心配でしょうがねえんスよ。あーあー、どうしてギルドには女の子がいないんでしょ」ハッタタスは顔を伏せにカウンターへ逆戻りした。

「この世にいるか? 泥棒大好きな女。俺がさぼるなって言ってたのが分かってねえな。そら、最初にこぼしたよだれをこの世から消すんだよ」突っ伏すハッタタスに布巾を示す。

「女の子紹介して」うつ伏せで呟く。

「だから人の話聞けって言ってんだ。俺だって自分の女に危ないことはさせねぇんだよ。理解し終わったらお掃除しろ」

「世の中に絶望したのでしません」うつ伏せ。

「てめえは絶望させる側だろうが!」

 扉の鐘が鳴った。気だるい者たちの準備はまだ終わっていない。ゴランは眠っている。