モンスターメーカー二次創作小説サイト:Magical Card

2.会合



「まったく止むことを知りませんよ」ゴブリンのブークは松明の逆の手を広げて我が街を差し示した。シャーズのシャナクは言われるまでもなく、静まり返る夜の街並みをその猫目に入れている。シャーズの瞳は闇に輝く。

 ブークは目が眩んだ。シャナクが不意にランタンの小窓を閉めたのである。炎の生命の断末魔の、くすぶった香りが盲目のゴブリンの鼻を突いた。

「なにをなさるんで」

「今日から慎重を期すことにした。おまえとの会合も嗅ぎ付けられているのかもしれん」

「た、確かに。シャナク様が来られる来られないに関わらず、殺しは起きますから……」ブークも地面を使って松明をねじ消した。

「状況の全体を理解しろ。おまえがそんなことをしてもゴブリンの汚いどぶに嵌まって死ぬだけだ」闇に溶けたシャーズの頭巾が喋る。夜空の輝きたるマーアムルとブルガンドは今夜は雲間に隠れがちである。

「我らの目はゴブリンなどと出来が違うのだ」「ははーっ、申し訳ございません」ゴブリンはかしこまりながらも低い声色を必死にこしらえた。

「今宵はゆっくり、慎重にお別れしたく存じますのでどうかお許しを」「まあいい。見廻りを毎夜行えないのは私の不明だ」二人は狭い路地裏に移動している。先導したシャナクは闇のゴブリン街を自在に歩いた。

「兵隊さんが来てくれればシャナク様お一人がご負担されることもないのに……」

「それを申請するために来れない時が出来るのだから、くだらないな。評議会は渋っているよ。おまえたちが反乱なんぞ起こすからだ」

「先の戒厳令のことですか……。あれは変な跳ねっ返りの集団のしたことで、ゴブリンだからといって、わたくしたち全員を上から決めつけられるとその……困ります。それが原因で今回も仲間があやめられているんでしょう?」

「くだらん連中が多いな。優れた者が劣った者を守ってやらねばならぬ。そう思うだろう?」

「はい、はい、そうですとも。シャナク様は真の騎士であらせられます」ブークは暗闇に満面の笑みを湛えた。

「ふん、褒め言葉を出すより入れ札に化けてくれ。我らの中の跳ねっ返りの阿呆どもが弱いオークを守ろうとしておまえたちにまで手を出した……。そういう奴らは賢い馬鹿という」

「い、一体なにをおっしゃっているので?」

「ふん……」

「世の中くだらないことが多いのでしょうか?」ゴブリンはシャーズの騎士に睨まれた。