モンスターメーカー二次創作小説サイト:Magical Card

9.問答



 わしはどうなるかと、迫るゲーリングは聞く。「啖呵は美しいがまだ枕を並べて死にたいほどではないなぁ。死に至るオークを診たら医者も死ぬと思わんかね」

 ん、とガルーフは言葉に詰まったがすぐ、「年中風邪っ引きの医者なんざ見たことがない。医者がすぐ死ぬなら代わりにオークが自分で自分を治す技を身につけた方が早い。いや、その方が兵隊にはいいな。こんな場所でぐずぐず迷うような子供みたいな軍じゃなかったはずさ」両手を広げて周囲を大仰に見渡す。挑発に拳を握るも身を乗り出せない士官たちの姿がよく目に入った。

 ガルーフの言葉は止まらず、「だいたいペイカを山のように稼げるからなると聞くぞ。医者にせよ、神に仕える者だってな。親父は何十回も楽に冬を越した顔をしてるな」吟遊詩人のジングまでも失笑していた。

「お喋りはもう控えたほうがよい。わしらが口中を診るのは一番手近な体内であるからだが、異常の気も漏れるところでもある」

 ガルーフは笑いに歪んでいた口を押さえ込もうと努力する。

 ゲーリングは片手をもって患者の口をちょっと開き、「確かにぼろい仕事かもしれぬが、時に銭勘定より覚悟が必要なこともあるんだよ。戦士でなくてもオークはみな勇敢だ。動くな」

 そして空いている片脇に手挟んだ松明に炎をともし患者を焼き始めた。