鍼で治療効果が出る理由
細い鍼を体に刺しただけで効果が出るのはなぜでしょうか。
その答えは鍼ではなく、ツボ(経穴)にあります。
鍼そのものには治療効果も何も無く、ただのステンレスの細い棒でしかありません。
しかし鍼をツボに刺すことでツボから体の各所を活性化・正常化する信号を送り機能を改善できるのです。
ツボには「穴性(けつせい)」と呼ばれる経穴ごとの特性があります。
例えば胃腸に信号を送る足三里や公孫と言ったツボや婦人科系に信号を送る三陰交や血海と言うツボなど、それぞれのツボは経絡を通じて体内とつながるスイッチのような役割があります。
そのツボに適切な信号を送ることで内臓の動きが正常化し、効果として現れるわけですね。
しかし難しいのはここからで、ツボの位置や形、深さと言うのは一律ではありません。
教科書的には「〇〇穴は△△から下×寸にある」と書いてあったりしますが、これはある程度の目安であり、個人差が非常に大きいため感覚に頼り探すことになります。
ツボの大きさも違うため鍼をどの角度でどの深度まで刺入するかも人により異なります。
指圧なら広い範囲で、ある程度の深さまで刺激を届けられますが、実はツボの効果と言うのは刺激範囲が狭く精密であればあるほど正確な信号を体に届けられます。
つまり細い鍼でツボの中心にピンポイントで当てることが効果を出すポイントとなります。
またツボには単体では効果を発揮せず、他のツボとの組み合わせで効能を発揮するものもあります。
ツボとツボの組み合わせにより相乗効果を狙えることもあれば、効果が相殺されるものもあります。
どれだけ多くツボの組み合わせを知っているかで、対応症状や治療効果に差が出てきます。
近年の研究では足三里に鍼を打つと胃の蠕動運動が活発になったり、至陰にお灸をすると子宮内血流量の増加が確認されるなど、科学的にも経穴の有用性は証明されています。
今後も東洋医学の研究は進んでいき、まだ未解明な部分も明らかになってくると思います。
その他にも鍼治療のメカニズムはありますが、今回はツボのお話しでした。
不調や疲れなど体のお悩みで、鍼でも試してみようかな?と思ったら、お気軽にご相談ください。