モンスターメーカー二次創作小説サイト:Magical Card

7.立ちはだかるもの



「憲兵さんの怒りようからして、繁華街が堂々とそびえてるとは思えないね」とノーラ。

「そりゃそうだろ。どんちゃん騒ぎがオレたちに届いてたらまるで苦労してねえよ」猫の耳を持った少年は言う。

「第一、ぐっすりおねむの兵隊さんたちが怒り出しちゃうね。それでも夜中に店を開けてんのは哨戒から帰って
くる人らのためだ。派手な看板くらいは許されてるだろうさ」二人は推論を頼りに明けるともしれない夜を歩く。

「しかしよ、閉まってる高い天幕だらけじゃどうしようもないぜ。島のどのへんにあると思ってんだ姉ちゃんは?」

「む……。隅っこで商いやってるか、利便のためにど真ん中に置かれてるか……」

「まるであてにならねえなぁ」

「いやいや、また憲兵さんに出くわしたら道案内してもらやいいんだよ」

「危ねえよ! 子供ふたりでうろうろしてるのを怪しまれたじゃねえか」

「なに言ってんだい、別に堂々としてりゃいいんだ。あたいたちがここまでやって来たのはほんとのことだろ」


 人っ子ひとり出くわさない。

「……そういや憲兵が言ってたけど、この島にゃゴブリンの召使いはひとりもいねえのか?」

「……いないはずだけど」

「そりゃあ安全でいいや」「こいつ」シャットが言うが早いかノーラは脚を伸ばした。少年はノーラの軽い蹴りをす
っと避けた。

「姉ちゃんが憲兵に食ってかかってどうなることかと思ったけど、結局身分でなんとかしたな。姉ちゃんはやっぱり
嘘だらけだな。なんで軍隊ごっこをやりたがるんだ? 大好きなゴブリンをやっつけに行ったシャーズ海軍になり
てえとはおかしいや」

(なんで軍隊やってんの!)ノーラは思い起こすことがあった。しかし思い出せなかった。

 父はゴブリン征伐に向かう前になんと返答しただろうか。

(情けない)ノーラは自分に向かって言った。思い出したくない自分に。

 突然、ノーラの目の前にとても背の高い人物が現れた。

「んぎゃん!! いったあ〜〜!!」少女の額は尖塔にしたたかに痛めつけられた。

「うわっ! 大丈夫かよ」駆け寄る少年の足音が聞こえる。

「ひい、ひい……」うずくまって痛みをこらえても涙は搾り出されていく。

「ねえ、血ぃ出てない。見てよ」石畳に赤いものはこぼれていないと思ったがノーラはシャットに訊く。

「出てねえよ。切り傷もついてない。大丈夫」

「髪には触んな! 手入れしてんだぞ」

「ちぇっ、自分から訊いといて。だいたい、ずっと海の水をかぶってきたじゃねえか。……ぼーっとしてんなよ。ゴブ
リンだって良い奴と悪い奴がいるんだろう? で、悪い奴をやっつけるのが軍隊なんだろ」

「なんだよ、自分から言い出して。まあいいや! シャット君、ちょっと行って来てくんない」ノーラは傍らを指差
す。