モンスターメーカー二次創作小説サイト:Magical Card

6.探索計画



「さて、柄にもない巡礼はやめるぞ。獲物を探す」ガルーフは鞘のままのサーベルで闇にとざされた奥を指す。

「ジングに聞くが、どの程度身を守れる? 三方に別れてこの、ザーグを進んでいくつもりだ」

「うひゃー。左右の壁なんて見えないくらい広いですよ。一人で行くのは怖いなぁ……」

「使い手のグロール隊長殿に聞いた覚えはないんだよ」ガルーフがぎろりとねめつけてくる。「広いからこそ声もよく通るし思い切り駆けることもできる。何か見つけたらすぐに他の者へ向かって叫べ。そして氷室の中央へ走る。とにかく壁から離れる意識を持て。全員で集まってやっつけてやろう」

「長年ヒューマンの倉にされていたのなら丈夫でしょうね。崩落の危険はないと思います」ジングが言う。

「どう見てもかなわない相手だったらどうしましょう? 多いとか、大きいとか」グロールは相変わらず寒そうにしている。

「それは俺が決めさせてもらう。今だけは俺が一番偉いんだろ?」ガルーフは二人をうなずかせた。「そしてやばくなればあちらさんへお帰りだ」振り返って来た廊下を指す。「方向を意識しておけよ」

「ああ、戦わずに済む場合があるという意味だったか? モンスターが寝坊していたらそっとしておくこと。そして静かに、やはり中央を目指せ」

「その場合お二人を待てばよろしいのですか?」

「逆にどこまで行ったらいいんでしょ?」

「うーむ」二人に問われてガルーフもしばし沈思する。黙ってみると気付くものがある。

「腹が鳴ったら中央に集まる。それでいいさ」ははは!と二人のオークも笑った。


 二人のオークから発せられた哄笑はかつてのノームの住まいに容易く響き渡った。グロールとジングが慌てて口を抑えたほどであったがガルーフは薄く笑うだけだった。

「その程度でいいんすか。あっし、もう腹が空いてますが」

「構わんだろ。お前らが遊んでばかりいても誰にも怒られる気配がない。あとは少し歩いて確認するくらいの心持ちだ。腹が鳴り始めて戦えるオークはいないし、こんな血の通わないようなところで死ぬのは損さ」そしてジングのほうを向いて、「俺が死んでいて返事をしなければグロールに従え」グロールはさっと敬礼をしている。

「そしてあっしまで死んだら?」グロールはジングに笑ってみせる。

「震えるなよ詩人。やはり戦いの心得はないか?」ガルーフが肩に手を置いて激励してくる。ジングは、

「ああ、いえ。組み打ちの他にこれだって使えます」と持ち歩くリラをかざして見せた。特別な作りのない、發弦楽器。