モンスターメーカー二次創作小説サイト:Magical Card

6.キャンプ



 オークの怨敵の正体はいかに。この狩人の若者は一日中ひたすら暇をあかす脳髄に敵とモンスターとの差異について考える仕事をやった。周囲は、ヒューマンの錆びない剣が目当てだとか、生意気な将軍は子供の召使いに持ち帰ってやるだとか、食糧庫を見つけたら女房を呼び付ければ楽にぶち壊せるだのと意味あるとも思えぬ冗談をたっぷりしたお腹をゆすりつつぬかしている。自分も聖戦に飽きている同類項の若者なのだとガルーフは思った。せめて兄たちや同郷の勇者がばらばらに配置されていなければこの虚しい心はなかったはずだ。


 厚い布が風をはらむ粗い音がうるさく鳴り始めて、夕闇に濡れるオークの陣地に勇壮な色合いの天幕が次々形成される。


 足が止まれば次は食事という唯一の娯楽が待っている。オークのなにより大切な時間である。しかし貧弱な兵糧を舌に乗せるだけの作業なのに馬車だの牛車だのの不揃いでのろまな運び手たちを待つ仕事が残っている。

 自分の班のテントを張り終えたところでまだまた退屈な時間が残るのだ。暇つぶしにだだ広い宿場で何も考えず足を鍛えて回るのがガルーフである。妙なところに踏み込んで上官に鞭打たれぬように気をつけて楽しもう。それほど面白くはないが。


 そして大股の早足が目を付けられやすいのかと思った。すぐにガルーフは不意の方向から声を受けたのである。