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2.反乱王ガルーフ



『神々の物語』のオークの長・グラの行動が異なっていた。

 子供たちがガルーフを心配したり笑うために労働おかまいなしに力強く頓着もせず農具を振るう彼の下へ駆け集う。

 ヒューマンの企みと自らの過誤によりてオークをこの乾いた土地に未来永劫封じてしまったグラ。

 子供たちは笑った。彼の言い分は「オークを負けさせたくないから」だったからである。

 ガルーフに、変えた後の話が要るぞと問い詰めればその案件はしっかりと昨夜寝つく前に用意してきたらしく突き出した豚鼻の下の口が滔々とかなりの時間動く。

 子供たちの中の年長者が笑った。ガルーフはへそを曲げたが、筋書きの無理に初めて気づかされたので即興で訂正を試みた。

 また笑われた。幾度も繰り返すうちにガルーフ自身がヒューマンの長アシャとゾールに挑む気分になった。惨めな敗戦であった。玄人の歌を聴く時のような昂揚はなく、次第に人数の増える嘲笑を分厚い肌で受けると体内がかっかしてくる。

 土の上の文壇は労働をおっぽり出してかなり長いこと続いた。そしてガルーフの兄たちがいい頃合で弟を助けに入ってくれた。ガルーフ作の物語は原作とほぼ変わりなくなった。

 兄のひとりがガルーフの頭を押さえる。冒涜者、神々の時代の意味がやっと分かったろう、まずはバラン神、そしてグラ、そのあと友だちに失礼を詫びろ。

 ガルーフは不承不承だったが、心の中は反乱王グレードを持ちだしていた。その至高の戦いを己に同化させて苦痛に耐える努力をした。ガルーフの詫びを受けて子供詩人の集まりは解散。帰り道に思わぬ見世物だったガルーフに一言と称賛のひどい嘲りをぶつける子もあった。

 ガルーフはオーク史の必然は受けた屈辱で理解した。しかしその敗北は意地でも身体の中に入れたくなくなった。『グラッド王』もいつか発表してやる。