モンスターメーカー二次創作小説サイト:Magical Card

6.ガルーフの勘定



「お前らの側を怒らせることになるけれど、まだ俺は三人とやり合う自信はあるぜ。でも戦争となるとオークは負けてしまうんだ。なぜだ?」

「君はいつでも誰に向かっても忌憚がないね」ファンタール卿の口ひげの形が変わってガルーフには見えた。

「オークの誰でも、ヒューマンに言いたいことは山程ある。死ぬまで言いたいくらいだぜ。本当に死ぬことになるかもしれんが、死んでも言う。仲間内にもわがまま言っている気もするがな」ガルーフは少し笑った。

「強い獲物を狩り続けて驕っているのでしょう。こういう者こそ意外な場面で足元をすくわれるのです」レイランドの主君への報告がオークの鼻につき、

「ただの生業だぜ。選り好みなんかしているものか。思い出してみれば末っ子のくせに指図をしていたのが原因なのかな。回りまわってこんなところで宿敵と飯をつつくはめになってるんだろうか?」生意気だと笑顔を浮かべる兄たちの存在を実に思い出した。今ごろどの辺りを行軍しているだろう? 連れて故郷の両親の姿。心に家族の幻影を見るのはひさしぶりというわけでもない。最近は起きる物事が多すぎるようにガルーフは思った。

 しばし記憶に遊んだガルーフに声を掛けるのはエ・ガルカだった。

「兄さんは何人いるのかね。私には二人の息子がいるよ」

 ガルーフはひととき目を丸くして、「五人兄弟だが、少ないな。いや、俺の家も少ないと言われたが、再婚しないのか。ヒューマンは愛が強すぎるんだな」

「オーク、不吉な勘違いをしているだろう」そばのレイランドが顔をしかめた。

「エ・ガルカの家庭はみな健やかで確かに愛は強いよ。分かるかね? ガルーフ君」

「誠に恐縮です、ファンタール卿。やはりオークは多産のようです。記録にたがいありませんな」

「ヒューマンは少産ってことか……」ガルーフの酒は不意に強く感じた。