モンスターメーカー二次創作小説サイト:Magical Card

2.化けて出る



「ようグロール。俺は死んだぞ。ガーグレンに報告しに行くぞ」

「はあ!? なんですか? あなたゾンビさんに!?」

 グロールの肩をがっちり抱いて離さなくなったところへ、騒ぎを聞きつけたジングが走ってきた。

「あっ、お元気になられましておめでとうございます」

「俺はずっと元気に決まってる。いや、怒っている分さらに元気だぜ」ガルーフは嫌がるグロールの背中を叩いてガーグレンの幕舎へ案内させた。聞けば将軍は天幕ではなく既にヒューマンの建物の司令塔に居座っているという。

 ガルーフは特に咎められず通された。グロールは嫌な予感しか起こらなかったので自ら乞うてガルーフに追随した。

 中に構える将軍の姿は悠然としたもので、紫煙をたっぷりとくゆらせていたところだった。

「浮かぶ疑惑と緊張の泡沫は弾けさせてはならない」「ゆっくりと空気を抜くのだ。大軍の手綱は慎重に操ってやるべきだ。元田舎の大将君には分かっていただけるだろ?」ガーグレンは煙管をもう一度だけ味わった。次にガルーフにゆっくり首を向けた。

「その煙草は試してやった覚えはないぜ。隅から随分いい香りもするな。変わった匂いだが気持ちよく酔えそうだ」言われてガーグレンの喉から詰まった音がしたように、側のグロールは思った。

 ガーグレンは立派な鼻をけたたましく鳴らした。「毎度巨大ハエの羽音のような口を利くな。貴様の言うとおりに事が起きた試しがあるか? 我が軍は順風満帆だ!」そしてごく小さな巻物に力を込めてガルーフに投げ付けたのである。

 不意にガルーフを襲った小兵が手の皮を腫らした。ガルーフは受け止めた巻物をすぐ紐解いたが、数刻でグロールに手渡した。

「やめよ! ああ、貴様、字が読めなかったか」

 ガーグレンは力が抜けて、ふんわりと座り心地のよい司令塔の椅子に身を沈めた。グロールは将軍に恐れをなしながらも書状に目を通した。

「あ……はあ!? や、やっぱり? すいません、一気に気分が悪くなってきちゃった」ガーグレンの従者たちもグロールに駆け寄るべきかと同じように体勢を崩した。

「なんなんだ」「今朝方の矢文だ」色めくガルーフにはガーグレンが答えた。

「簡単に言うとヒューマンが同盟を求めて来たんです。友達になりたいって。寝込みたい」グロールも寝不足であった。