ガルーフは馬の側面に据え付けていたスピアを抜いた。抜いたはいいが、前面の守りが硬いうえ素早く駆けるストーンカには通じづらい。(バトルハンマーを選んでおけばよかったぜ) ガルーフは心を決めて馬から降りようとする。馬を上手に繰れば槍で猛牛三頭に抗することもできようが、手綱さばきはがむしゃらに戦う方がましなほど。 「……と」モンスターより落馬の方に躊躇した。が、考えた途端に転がった。土にまみれる中、前と思われる方向でひづめたちの乱れた音がした。突拍子もないことをされて驚いてくれたようで有難い。 スピアを左脇に挟んで前へ突き出し、腰のサーベルを右に抜き放った。右の刀が本命。左の槍を餌にしつつ皮の柔らかい部分を狙って刺す。 三頭はガルーフと馬の前にきちんと横並びしている。猪突して同士討ちをしないためか、全員で掛かるつもりか、一頭ずつ来るのか。彼らの荒い鼻息を聞きながらオークのガルーフはペガサスを後ろに留めて歩を進めた。鎧獣族との戦いの経験は多かった。突進までの間が重要な相手だ。緊迫の糸を切る鋏を持つのはこちらであること。 体の小さな一頭は当然子供であろう。今回はこの子を狙って勢いをものにすべきだった。誘いをかけるか、こちらから取りに行くか。向こうが未熟ならどちらの手だって成功率は高い。 ガルーフはまだゆっくり進むことができた。今回もこちらが狩る側でいられそうである。 しかしガルーフはモンスターの罠の中にいる。 |
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