モンスターメーカー二次創作小説サイト:Magical Card

6.訪ねるか



「夜にいきなり訪ねるのはまずいよなぁ」一回の戦いで予定が大いに狂ったものである。ペガサスの首をぽんぽんと叩いてやりながらガルーフは呟いた。この暗がりの中に訪ねてみたらこっそり斬られて捨てられるかもしれない。

(俺だって納得してないんだ)自分たちの飯を敵にやった。どれだけの人物がどのように考えて行ったことか、ガルーフに知る由もないが、ヒューマンの陣にだって納得していない人物はいるだろうと思った。口止めの可能性も考えはしたものの、ガルーフの頭は黒雲みたいな悪い想像に包まれている。天から降りる雨はますます強くなってガルーフとペガサスの周囲を叩く。

「ここで休んでおいて明朝訪ねるか?」ペガサスに合図して自分が腰を下ろすと彼女も四つの脚を折り曲げて地に休んだ。休むにせよ、灯りはつけられない。モンスターは恐ろしいがヒューマンに発見されたら釈明はできない。一人のオークを夜半の雨に斬り捨てるのも口止めすればたやすいことだとここで気がつく。

 雨足はときたま弱まる。そのたびに新たな灯火の場所が分かって、ガルーフはヒューマンの野営地の全体像を頭の中に結んでいった。

 巨大な陣は利便のよい平らな街道の真ん中を占めていた。ダグデルを出ていった者すべてがそのままここにあるのだろうか? 灯火は非常に規則正しく連なっている。

(正直なところ怖気づいているんだ)ガルーフはしばらくの間、姿の見えないヒューマンたちに眼と心を奪われ体を硬くしていたずらに時間を過ごした。隣の軍馬も主人の気配につられてじいっと身をこごめているようだった。

(眠れやしないぜ)警戒しつつ休息を取らねばならない。狩人であった頃はできた芸当だが、無数のヒューマンを獲物にしたことはない。このままひたすら朝を待つ。

(無理な話だ)