モンスターメーカー二次創作小説サイト:Magical Card

3.三つ巴



「くそ。勇敢なやつらめ!」背後の牛と馬にオークの戦士は吠えた。後背に突然争いが始まっていた。(もう一匹隠れていた!)ガルーフは戻りに走らざるを得なかった。ただの軍馬のひづめがストーンカと正面きって争えるものか。しかし、猛牛三頭に背中を向けたオークはなお弱い。

 後ろの親子は好機に乗ったらしい。いっぺんに牛締の音が轟いた。ガルーフは背中に恐怖を覚えた。前の一頭はよく見れば小振りで、後ろの子の兄弟であろう。全員が動いてガルーフ一人のための檻を形成していた。

 ガルーフは背中を守るために走らざるを得ない。先に狙われた軍馬ペガサスは名に恥じず善戦を続けていたが、さすがに時間の問題と見えた。それもこれもまとめて一瞬の出来事で、もう一瞬が過ぎたら全てが終わるかもしれない。

 ガルーフはペガサスを救うつもりになってやけを起こした。「この野郎!」

 全力疾走の勢いで宙を跳んでみせた。馬を刺そうと躍起になっていた兄弟ストーンカの後ろ、守られていない肌に飛び蹴り。一家の責任を熱心に果たそうとしていた若武者にオークの軍靴が食い込んだ。

 足の先にけたたましい悲鳴を聞いてガルーフは心に快哉を叫んだ。更にうまいことに、後ろの三頭は子牛を気遣う。突進は脇へと続々それた。

 じゃあこいつを盾に取るかと引き続いて良い考えが浮かんだ。しかし子牛の背を掴まえようとしてケフルの風を掴んだ。

 蹴られて押されたか、我を忘れて走ったか、動いたストーンカの身体のどこかがペガサスに当たったらしい。馬のけたたましい悲鳴が響いてその主も走った。その先には三つの影。

「おーお」狂乱のペガサスの進路は取って返して来たストーンカの残りの家族に当たる。遠目に見て撥ねはしなかったようだが、奴らの心胆を寒からしめたらしい。三匹の蹄の響きはどこかへ退いていった。

 ガルーフの元には倒れ伏した一頭が残った。当たりどころが悪かったのか。