「話を戻すとすれば経済のところから始めるのがよいな。オークの彼奴らは目の前の利益しか理解できない、 愚かで勇敢な戦士たちだ。ケフルの兵隊も愚かに振る舞い始めた」 「山から弓矢で狙うのをやめ、ダグデルを引き払い、平地にオークを待つ。このピルリムには愚かで済む話に 見えませぬ」 「どうかな。わざと多大なる損を引き続けて最後に一点の差で相手に勝とうというやり方もある。ケフルの指揮 官の名、どなただったかな」 「騎士のファンタール卿と判明いたしました」ランスロット卿が従者に命じて報告書の当該項を開かせている。 「ふふ、さっき目を通したばかりでど忘れした。いつも子をなすのさえ忘れてしまうからよくない。そちたちも笑っ ておらんで早めに妻を娶ることだな」 「やだなぁ。大叔父もまだ若くいらっしゃいますよ」ピルリム卿は顔を赤くしたが、マクネイル大公に子がいないこ とがベイオール先王が通例に背き、子息のモルダット王子を一跳びに後継者と定めた一因であったのを思い 出している。 「ファンタール卿、あのお方は戦術眼に長けておられる」マクネイルの話は続いている。 「老練で折り目正しい騎士だ。がさつなオークどもの前で堂々たる強さを見せるかもしれぬ。オークたちの身 がごく安い買い物となるか」 「オークに貴重な糧食を分け与えたと思わせることができるでしょうか。そうでなければ平地の陣などオークに は最も踏み潰しやすい場所」ランスロット卿。 「同等の戦士の有様を見せる時らしいな」 「万が一にオークがなびけばケフルは回復しエルフをも退ける軍団が完成するでしょうが……」ピルリム卿。 「エサランバルを切り従えるかもしれぬぞ。そうなればメルキアの支配権は彼らの手に渡る」 |
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