「つーかですよ」ロリエーンはマントの襟を正して、「このやりとり当時もしなかったっけ」 「うん? あんたの言い訳言い分はさぞや耳に堪えたことでしょうね」サーラが静かにティーカップを置いてから人差し指だけ伸ばして軽く耳の穴を抑える。 「ああ、ロリちゃん毎日取り調べられいじめられたんだった。思い出してきたからね」言うとロリエーンは恨みがましい目つきを始めた。サーラは既に立ち上がって皆の食器の後始末を始めている。 「サーラにちくちくした厭味をぶつけてこられてさ。ペンを持たされてこのように書きなさいってロリちゃんに不利な文章書かされてさ。ロリちゃん疲れたのにサーラの方は寝ながら応対してた。めちゃ虐待。ショックでロリちゃん何が悪かったのかさっぱり忘れちゃったんだ」頬杖を突いて長いため息を吐いてみた。 「でもエルシーの取り調べが始まると七神のおそばに召された気分なの。ずっと眠ってていいって言うから床にお布団持ってきてもらった」司令官のほうを向いて笑いかける。おまけに手も振った。 「あの時は私と交代する度に寝具を背負って帰ったのですか? ロリエーンはアララッテ山の謎の頂よりも高く付け上がりますよ」 「まあ、それはそうと、調書はどうだったかな」エルサイスはサーラが片付けのあと素早く検分に取り掛かった書物の山を眺める。 「ええ、こちらに」参謀は一冊を両手に持つ。「我らは十八年前も変わらぬ見識にございます」 「サーラも覚えてなかったんだ?」生真面目な言葉にロリエーンは腹を抱えた。 「覚えのない自分の日記って怖いわ、ね?」ナーダが言う。 |
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