「だからロリちゃんが此度あるを信じて丹念に調べてあげたわけよ。ヒューマンとオークの足の長さを」 「そんで言わせてもらえばヒューマンなら時々大当たりがいるのね」えへへと破顔赤面したかと思った瞬間醒めた目つき。「まあーひっどいのも平気でいるから引き立つって理論も成立するかも。そういうところが《ずるいヒューマン》なんだなきっと。ねっ」とエルサイスに気まぐれな手を振る。 「それでオークの方はと言ったらエルフの時間の無駄ってやつでさ?」サーラの叱責が飛んだ。話を進めよと。 「ヒューマンの冗句みたいな言い方はよしなさい」「よ、よく分かるんだから」「外でちやほやされる内に伝染したのね。根腐れる予定があれば教えてちょうだい」 そして愁眉を寄せるエルサイス。「ロリちゃんは本当にエルフを辞めてしまうのかい」 「いやあ、ヒューマンはヒューマンでムカつくとこがあって向こうに行く気はないよ。エルフを辞めたいと言うよりサーラの親友を辞めたいって感じ。ロリエーンはエルシーのこの世果てるまでの恋人だからね」瞳を上手にしばだたいてぱっちりと魅力的に見せた。鋼の打たれる音。ロリエーン特注の頭の鉢のサークレットが火花を散らした。 「めり込んだ!」ロリエーンは挟んだ髪と額の痛みに耐えながらサーラのロングソードを確認した。「芸のないヤツ!」涙目のままサーラに抗議する。「ロリエーン、宝石が一つ外れるわよ」大慌てのロリエーンはサークレットを頭から外した。 「嘘つきめ! サーラも罪に問うべき、大将!」背中をそっくり返らせて怒気を発するロリエーンはサーラとエルサイスを交互に指差す。 ナーダがエルフにも聞こえないほどの小声で抗議していた。眠り続けるフェリオンをそっと指している。 「真の恋人、伝説の走者、助けて!」とロリエーンが返した。ナーダは「もう」としか返せない。 「サークレット、早く話を進めないと無惨になるかもと言うことよ」 (サーラめ、エルフの美品を崩すとか脅して、あんたこそユリンの使徒失格だってのよ)「……ロリちゃんだって大事なことたくさん報告してたのにバカ参謀は気付かないんだからなぁ」 |
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