モンスターメーカー二次創作小説サイト:Magical Card

3.どうなるというより



「具合、大丈夫なの。ほんとうに」

「ああ。寝ながら汗をかいたら熱もどっさり落ちてくれたみたいだ。身体は動かないだけで、お前が文句垂れながら世話してくれたのは分かってた」

「ひぇぇ……」

「気持ちのいい夜だね」イフィーヌは妹を家に入れて大きな錠を玄関にかける。

「そっかぁ、よかったねぇ。あたしも汗をかいて元気になろうとしてるわけだよ。はははっは」

「お世辞を言うんじゃないよ」「さっき、喜べって言ったじゃない」姉は錠をかけ終えた。

 真夜中の大気に金属の音が響いた。「何かやっちまったんだろう?」

「いやあ〜〜」「クエストを成功させたんなら自慢話を意気揚々と垂れに帰ってきたろう? 寝込んでた私に向かってさ」

「うんまあしょうがないじゃない? あたしが一人で行くしかなかったんだから。多少のことはあってもさぁ」メナンドーサは居間にランタンを置いた。するとイフィーヌも隣に自分の灯りを置き、食卓の光は倍になった。

「ああ、その言い方、大人たちとやり合ったわけか」「と……」メナンドーサの両篭手は思わず口を覆う。

「うーん。確かに私の責任はある。でも、あんたもほどほどにしときな。子供がなめられるのはしょーがないと思いな。あんたはいじめられるほど突っかかるんだから」

「いじめられてないよっと。逆だよ、逆」「なんだって」妹の軽いはむかいが姉の顔をより険しくさせた。


「はー、刃傷沙汰か」「ただ棍を防いだだけだよ! だって、不意打ちが飛んできたら普通受けるでしょ。何回何十回と稽古をつけられた通りにさぁ!」

「うるさいね。向こうの悲鳴が聞こえたんだろ?」灯りの向こうで姉は喋る。明るい色の寝間着の様子だと腕組みしているようだ。

「上手く棍を斬れたみたいだったからね。どっかにぶつかったくらいでしょ」

「事件には変わんないよ。確かめずに馬を飛ばして逃げてきたんだ」「やな言い方! ……お姉の言う通り、あたしは気が短いからね、暴れちゃう前に家に帰ってきたんだよ。『現地解散!! 言いたいことがあるなら明日来て!』って言ってね!」

「よく我慢したね、怪我はなかったかい、なんて言いたくないね。なんで殴りかかられたのさ」「先に手を出したほうが悪いんでしょ! あたしは必死に指揮してたのに!」メナンドーサは腕組みして憮然とする。

「奴らやモンスターの出方も悪かったんだろうが、私らの立場ややり方も変わっちゃったからね。いろんなところに無理が出てきてるんだと思う」

「はぁ……父さん」「よしよし」金の髪を撫でる手。イフィーヌは二つのランタンを体ごと乗り込えて手を伸ばしている。

「もう」メナンドーサは姉の手をことさらに払ってみせた。「はー……明日どうなるかな」

「もう今日じゃないか? どうなるというよりどうするか話し合おうか」