飼育しはじめてすぐの段階で、水換えをしたくてもできなくなってしまったような状況や、水換えを極力減らして、これから飼育環境(生物濾過)を立ち上げる際に、マツモやアナカリス、カボンバ(小型魚なら)が入手できず、入荷するのを待つ間や、お友達から送ってもらえるのを待つ間に、ゼオライトでのアンモニア(アンモニウム)吸着はとても有効です。
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↑ 6パック入って数百円です。
同じグラム数でも、粒状のものの方がより吸着力に優れていますので、そちらを選んでください。
ただし、ゼオライトは亜硝酸塩や硝酸塩は吸着できませんので、立ち上げやリセットしてから、亜硝酸塩が検出され始めるまでの数日から半月ほどの短い間のことになります。(極論ですが、この日数をできるだけ稼ぐ方法をこのページの下部に記載しました)
従いまして、この方法ではバクテリア商品は 『 一切使用しません 』 商品によっては アンモニア(アンモニウム) ⇒ 亜硝酸塩 へと分解され始めるのが早くなる(本来は好ましい効果)場合があり 『 この方法での 』 ゼオライトを使用する意味合いが薄れてしまいます。
水換えができないような状況では、マツモやアナカリス、カボンバ(小型魚なら)を入手し、滅菌・消毒して使用できる状態にできるまでは、ゼオライトで吸着可能なアンモニア(アンモニウム)の状態でいてくれる方が、水質をコントロールしやすいためです。
以下、マツモを使用する場合についての記載です。アナカリスやカボンバ(小型魚なら)でも 『 条件付き 』 ですが、代用できそうだという実験結果が出ています。
ここ から実験のページに飛べます。
↑ リンク先の最初に 『 条件3点 』 を記載しています。
2019年5月29日 ~ 6月24日 26日間で、水換えすることなく、許容範囲内の水質で、生物濾過が立ち上がりました。
① まずはゼオライトでアンモニア(アンモニウム)吸着
② 亜硝酸塩濃度が 0.5mg/ℓ 前後になってきたら、ゼオライトをすべて取り出してマツモを投入
この実験時の水質の推移と、ゼオライト・マツモ・バクテリアの役割分担のイメージ図です。
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この実験 については ・・・
こちら ← 新しいページで開きます。
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1. |
ゼオライトのアンモニウム吸着作用と ※ 規定量を基準として、生体の飼育密度や餌の量で増減 |
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2. | マツモの水質浄化能力を利用して |
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3. | 魚を飼いながら(飼育規模の基準よりも多い) ※ 水質をチェックしながら、餌を控えめに与えれば、基準とされる倍ほどの金魚にも対応可能でした。 |
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4. | 餌は水質をチェックしながら与え |
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5. | 水換えをしないか、最小限に抑え(水換えできない状況下であっても) |
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6. | 欠乏しがちなマツモの養分は添加し(入手が簡単な市販品 カリウム+微量元素) |
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7. | 自然に湧く濾過バクテリアが定着して |
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8. | 比較的安全な水質を保ちながら |
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生物濾過を立ち上げます。
水換えによるバクテリアの流出(ロス)がなく、速やかに生物濾過を立ち上げることが可能となります。
その後、必要に応じて、適量のマツモを残す(状態の良い新芽の部分をできるだけ残す)ことで、硝酸塩濃度をコントロールすることができ、水換えまでの周期を延長することができます。
※ 少なめの飼育数で、餌も控えめ、途中必要に応じて水換えをしても、もちろんOKですし、状況的にそれができるのであれば、そちらの方が好ましいと思います。
※ ゼオライトとマツモの量、ゼオライトを取り出すタイミングがとても重要です。
ゼオライト : 飼育水量に対して規定量を基準 (実験に使用したものは 60cm水槽 約50リットルに 300g)
マツモ : 飼育水量に対して重量比で 0.25%を基準 (飼育水 50リットルなら マツモ 125g)
① アンモニア(アンモニウム)を亜硝酸塩に分解する濾過バクテリア(ニトロソモナス属)が定着して活動し始めれば、それ以降に発生するアンモニア(アンモニウム)はゼオライトで吸着しなくても、速やかに亜硝酸塩に分解される。
② ゼオライトに相当量吸着されているアンモニア(アンモニウム)をそのままにしておくと、ゼオライトにも定着する濾過バクテリアの活動で、亜硝酸塩濃度や硝酸塩濃度の上昇につながる。
③ ②の時点では、亜硝酸塩 ⇒ 硝酸塩 の働きをする濾過バクテリア(ニトロスピラ属)の定着と働きがまだ十分ではないため、ゼオライトに吸着されている大量のアンモニウムが亜硝酸塩に分解され、亜硝酸塩濃度の急上昇を起こしてしまう。(ゼオライトは亜硝酸塩を吸着できないので)
本来のゼオライトの使用方法とは違い、割と早期に取り出しますが、これは、水換えをしないか、最小限に抑えるためです。
水換えができる状況であれば、亜硝酸塩濃度が上昇しても、水換えで対応できますが、そうではない場合、亜硝酸塩濃度の急上昇は、マツモをはじめとする水草では吸収しきれないレベルにまで達してしまいます。
亜硝酸塩ができはじめたころに、その元となる吸着され蓄積したアンモニウムを、ゼオライトごと取り出すという、変則的な方法を採ります。
なお、個人的には通常時の立ち上げにゼオライトを使用する場合でも、このタイミングで取り出します。
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ざっくりと書いています。一気に読むと、とても長いですが、日程は下記の通り余裕があります。
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① ~ ④ |
1日目 |
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⑤ |
2日目 |
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⑥ |
3日目 |
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⑦ |
4日目 |
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⑧ ~ ⑪ |
生体を入れて以降 5日後~10日後前後 |
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⑫ ~ ⑭ |
生体を入れて以降 半月 ~ 40日目前後 |
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⑮ |
↑ 以降 5日程度 |
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① | <1日目> 飼育容器や器具一式を、飼育水が触れる部分は水道水や熱過ぎないお湯で、スポンジタワシ等を使って、キレイに洗います。 |
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② | <1日目> 底砂、ソイル 注1、赤玉土(これらを敷くなら)はそれぞれ適した方法(洗う洗わないが異なります)で前処理し、飼育容器に敷き終わったら、その上に清潔なビニール袋や食品用のラップを一面にかぶせます。 |
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③ | <1日目> 塩素(カルキ)が抜けた水をビニール袋やラップの上にそ~っと注ぎ、注ぎ終わったら、②のビニール袋やラップをそ~っと引き抜くようにして取り出すと、水が濁るのをかなり防ぐことができます。 |
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④ | <1日目> 一週間以上にも渡って試運転しましょう!と書かれているのを目にすることがありますが、塩素(カルキ)の抜けた水は殺菌効果を失っています。雑菌が繁殖して、飼育水として使えない水になるリスクが増す可能性が高くなるだけでなく、ただ濾過器を通して水を循環させているだけでは、必要な濾過バクテリア(細菌)も湧きません。 その飼育環境に本当に必要な濾過バクテリア(細菌)は、主に空気中から自然と入り、そこに有機物やアンモニア(アンモニウム)があれば定着し、増殖していきます。 |
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⑤ | <2日目> できれば、その後さらに1日試運転をして、水質をチェックすると良いかと思います。 2日間カルキが抜けた水を張って、試運転(空回し)することで、その水に触れるあらゆるものに生物濾過の基礎になる、バイオフィルムが形成され始めます。 水質チェック については ・・・ こちら ← 新しいページで開きます。 濁りがひどかったり、水質に問題があるような場合には水換えをして、生体を問題なく受け入れられる水質になっているのを確認してから、生体を入れます。 また、入れる生体が多めで、pHの低下(酸性化)が早く進みそうであれば、サンゴ砂やカキガラを適量、濾過槽内や飼育水槽内に入れておくと良いでしょう。 サンゴ砂やカキガラは、かなり多めに入れても、危険なほどpHが上昇することは、通常はありませんが、弱酸性を好む生体の場合には微調整が必要になるでしょう。 |
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⑥ |
<3日目> 濾過器の中や、投げ込み濾過器なら、すぐ近くに密着させたり。 ※ ゼオライトは規定量を基準として、生体の飼育密度や餌の量で増減。 生体を入れる前に、pHが下がりすぎていないか必ずチェックしてください。 ゼオライトには硬度を下げ、pHを低下させる働きもあります。 |
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⑦ | <4日目> pHをチェックし、生体に適する値かを確認します。 魚などの生体を入れます。水温・水質を丁寧に合わせ、ショックを与えないようにしましょう。 ※ 翌日以降、数日から10日間ほど、うっすらと白濁し、多少の生臭さを感じることもあるかと思いますが、自然な現象です。水質をチェックし、許容範囲内なら大丈夫です。有機物をアンモニア等に分解するバクテリアが湧いて、十分な働きをするようになれば自然と治まります。 ※ この方法ではバクテリア商品は 『 一切使用しません 』 商品によっては アンモニア(アンモニウム) ⇒ 亜硝酸塩 へと分解され始めるのが早くなる(本来は好ましい効果)場合があり 『 この方法での 』 ゼオライトを使用する意味合いが薄れてしまいます。 マツモを入手し、滅菌・消毒して使用できる状態にできるまでは、ゼオライトで吸着可能なアンモニア(アンモニウム)の状態でいてくれる方が、水質をコントロールしやすいためです。 |
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⑧ | <生体を入れた翌日~10日前後まで>
アンモニア(アンモニウム)がゼオライトに吸着されて、比較的安全なレベルになるように、アンモニア濃度をチェックしながら、餌の量を調節します。 生体を入れた翌日にアンモニア濃度をチェックし、0.2mg/ℓ 以下であれば、最初はごく少量の餌を与えます。 アンモニア濃度は 0.5mg/ℓ 以下で推移するくらいが、この後に発生してくる亜硝酸塩に対応しやすくなります。 なお、アンモニア濃度が 1mg/ℓ 前後に上昇しても、よほどpHや水温が高くなければ、そのほとんどが害の少ないアンモニウムですので、大丈夫なことが多いです。詳しくは試薬に付属の説明書に書かれています。(書かれていない試薬もありますが;) 危険なアンモニアの含有率 については ・・・ こちら ← 新しいページで開きます。 アンモニア(アンモニウム)は濾過バクテリアの働きで亜硝酸塩に分解されますので、アンモニア濃度を低めに抑えるということは、亜硝酸塩濃度を低く抑えることに繋がります。 アンモニア試薬が入手しづらいような場合には、Section 3 『 立ち上げ中の水質チェックについて 』 をご覧ください。 ※ すでに検疫や治療を済ませ、すぐにも餌を与えられる状態の魚であることが前提ですが、器具一式と一緒に魚も買って来てしまったような場合にも対応可能です。(その場合餌は3日目くらいから) ↑ それでも、できればバケツでもタライでも、病気を持っていないか、検疫はされることを強くお勧めします。検疫が済むころに、上記 ①~ ⑥ までができているとスムーズだと思います。 |
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⑨ |
<生体を入れた翌日~10日前後まで>
亜硝酸塩濃度が 0.5mg/ℓ 前後になったら、ゼオライトをすべて取り出します。ゼオライトに吸着されたとはいえ、アンモニウムのまま存在しています。 そのまま飼育水中にあれば、濾過バクテリアによって、結局は アンモニウム(アンモニア) ⇒ 亜硝酸塩 ⇒ 硝酸塩 へと硝化され、特に立ち上げ時は、亜硝酸塩濃度を上げてしまうことに繋がります。 |
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⑩ |
<生体を入れた翌日~10日前後まで>
マツモは寄生虫や病原菌、農薬などの混入を避けるための前処理が必要です。 水草その前にという商品が有名ですが、消石灰(農業・園芸用)を同量・同様に使用することでも同じような効果が期待できるそうで、私はどちらも使います。 上記溶液に浸けた後、よく水洗いします。 ただし、何事でもそうですが、これで万全ではありません。 マツモの前処理 については ・・・ こちら ← 新しいページで開きます。 マツモも生体です。急な水温差や塩素の濃い水には弱いようです。 マツモはできれば予め用意できていれば安心です。売り切れていたりすると、あっという間に亜硝酸塩濃度が上昇してしまいます。 カボンバ(小型魚なら)やアナカリスでも 『 条件付き 』 ですが、代用できそうだという実験結果が出ました。 ここ から実験のページに飛べます。 ↑ リンク先の最初に 『 条件3点 』 を記載しています。 |
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⑪ | <生体を入れた翌日~10日前後まで>
テトラ フローラプライド については ・・・ こちら ← 新しいページで開きます。 ゼオライトの吸着作用で、水草に必要なカリウムや微量元素が欠乏している状態になっている可能性が高いです。 観葉植物や花の肥料は × です。カリウムや微量元素のほかに、窒素(アンモニア(アンモニウム)・硝酸塩)、リン酸 が含まれているからです。 立ち上げ中は、窒素分(アンモニア(アンモニウム)、亜硝酸塩、硝酸塩)とリン酸を、マツモに吸収してもらう必要があるのですから、添加してしまっては本末転倒になります。 テトラ フローラプライドの規定量 : 飼育水 10リットルにつき 5ml まず規定量を添加し、翌日からマツモの量や環境(飼育数等)に応じて毎日か、一日置きに適量添加します。 普通では入れないくらいのマツモが入っていますので、少量多頻度に添加します。 60cm規格水槽(50リットル程度)に、標準的な飼育密度であれば、まず規定量の25mlを添加し、翌日以降、毎日 1ml ~ 2ml の添加が目安になるかと思われます。 マツモの頂芽(先端)の色がやや濃いグリーンか、茶色がかっていれば適量です。 頂芽がピンク色や白っぽくなってきているようなら、養分不足です。 マツモが求める養分の内、窒素とリン酸は魚を飼育していて、餌を与えていれば、よほど生体が少ない場合を除き、通常はあり余るほどあります。カリウムと微量元素が不足しがちです。 要は 『 カリウムと微量元素だけ 』 が補給できる水草用の液肥を使うと、マツモの状態を良好に保ち、窒素分(アンモニア(アンモニウム)、亜硝酸塩、硝酸塩)やリン酸の吸収とマツモの成長がより促進されます。 ※ カリウムにはpHを上昇させる作用があります。規定量入れた際には、pHのチェックをお勧めします。 |
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⑫ | <生体を入れてから 半月 ~ 40日前後> マツモを食べられないためにも、有益なバクテリアを湧かせるためにも、マツモに養分を補給するためにも、何より主役の生体のためにも、この方法でも水質をチェックしながら、餌を与えます。 ※ マツモを実験環境のように、水面付近に広く浮遊させる場合には、浮く餌は不向きとなります。(容器によってはマツモをかき分けて沈む餌を与える等) |
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⑬ | <生体を入れてから 半月 ~ 40日前後> 亜硝酸塩濃度が 0.8mg/ℓに近づいてきたら、餌を控えるか餌を与えるのを止めます。 さらに、亜硝酸塩濃度が 1.6mg/ℓ を超えるような場合には、半分程度までの水換えが必要になることもあります。 これまでにしてきた、マツモを使用した立ち上げ実験では、いずれも水換えなしで生物濾過の立ち上げに成功しています。 水質チェック については ・・・ こちら ← 新しいページで開きます。 |
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⑭ | <生体を入れてから 半月 ~ 40日前後> アンモニア濃度も亜硝酸塩濃度も ゼロ になったら、マツモを半分に減らします。 このとき、状態の良い新芽の部分をできるだけ残します。 |
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⑮ | <⑭以降 5日程度> ただし、引き続き、比較的安全な硝酸塩(通常は水換えで薄める)をマツモに吸収させ、水換えを延ばしたい場合には、飼育水10リットルにつき、水をよく切った状態で10g以上になる量になったら、マツモを取り出すのをやめます。 50リットルの飼育環境なら、マツモが50gほどになったら、それ以上は取り出さない(^^) 飼育密度が高い環境であれば、もっと多くのマツモを残します。 pHと硝酸塩濃度のチェックを継続し、安全なレベルになるように、餌の量やマツモの量、液肥(カリウム+微量元素)の量を調整します。 |
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注1: ソイルの種類は様々あり、アンモニア(アンモニウム)などを吸着してくれる作用があるとされるものもあれば、主に水草用のソイルで、養分を添加しているようなものでは、使用開始からしばらくの間、アンモニア(アンモニウム)などを溶出するものがあり、マツモの水質浄化能力を利用して、生体に餌を与えながら、水換えをせずに生物濾過を立ち上げるという方法には向かないものがあります。 |
なお、マツモの準備(下準備や滅菌・消毒を含め)が早めにできた場合には、亜硝酸塩が検出される前であっても、上記手順の ⑨ ⇒ ⑩ ⇒ ⑪ に進む方が良いと思います。
マツモが生育するのに適した環境下であれば、規定量のゼオライトよりも、飼育水量との重量比で 0.25%のマツモの方が、アンモニア(アンモニウム)の吸収力が相当に強いです。
逆に、マツモの準備が遅れてしまったような場合でも、別の実験では、金魚が基準の倍ほど入った環境で、亜硝酸塩濃度が 5mg/ℓ を超えるような高濃度からでも、マツモの水質浄化能力と、濾過バクテリアの相乗効果で、水換えすることなくリカバリーすることができました。
なお、マツモの準備が遅れる場合には、ゼオライトを取り出すタイミングが難しくなりますが、水換えができないような状況では、ゼオライトを入れたままにしておけば、亜硝酸塩濃度の急上昇に見舞われることになりますので、このような場合には、餌を与えるのは極力少なくするか、できれば餌を与えるのをやめ、アンモニア濃度が十分低下しつつ、亜硝酸塩濃度が 0.5㎎/ℓ を超えるくらいのタイミング(実験の例では17日目あたり)で、ゼオライトをすべて取り出すか、2日かけて半分ずつ段階的に取り出し、引き続きマツモや代用可能な水草(アナカリス・カボンバ(小型魚なら))の入手と併せて、水換え用の水の手配も必要になるかもしれません。
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生物濾過が立ち上がり、アンモニアも亜硝酸塩も検出されない状態になるまでは、pH、アンモニア、亜硝酸塩の3種類を、可能な限り毎日チェックし、アンモニアも亜硝酸塩も検出されなくなったら、pHと硝酸塩の2種類の水質をチェックしながら、維持することが望ましいと思います。
アンモニアについては、検出されなくなったら、念のためさらにあと2日間チェックし、それでも検出されなければ、チェックをやめても良いと思います。
ただし、生体の様子に異変を感じたりした場合には、pH、アンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩 の4項目すべての値のチェックをされることをお勧めします。
水質チェック については ・・・
こちら ← 新しいページで開きます。
アンモニア試薬が入手しづらかったり、ネットショップ等で購入したものの、到着が遅れるような場合で、すでに生体を飼育し始めているような場合には、亜硝酸塩(NO2)濃度が 0.3mg/ℓ 以上に上昇(テトラ 6in1 では 0 と 1 の間よりも少し薄いくらいのピンク)してくるくらいまでの間、餌を与える量をかなり少なくしてください。
ゼオライトが水量に対して規定量入っていて、生体の飼育数もその水量に見合ったものであれば、アンモニア濃度が危険な値になりにくいことが 『 期待 』 でき、さらに亜硝酸塩濃度が 0.3mg/ℓ 以上に上昇してくれば、アンモニア(アンモニウム)を亜硝酸塩に分解してくれる濾過バクテリアが活動し始めたということですので 『 通常は 』 それ以降数日でアンモニア濃度が低下してきます。
[ 立ち上げの手順 ⑧ に戻る ]
水草を多く入れた環境では、光合成が盛んに行われ、pHが高めになる傾向があり、低目のpHを好む生体には注意が必要です。
pHを下げる方法は・・・
・ pHを低目に安定させる濾材の使用
・ 底床にソイルを使用する
・ pHを降下させる調整剤の使用
・ 二酸化炭素の添加
などがあります。
飼育する生体が多いような場合には、pHが低下しすぎるのを防ぐために、サンゴ砂やカキガラを、濾過槽や飼育容器内の水が循環しやすいところに入れるということも、水換えの回数を減らす場合には必要になることもあります。
金魚など、マツモを好んで食べる生体にこの方法を用いる場合には、マツモを保護する必要がある場合もあります。
水槽用のセパレーターや、目が粗めで清潔な洗濯用のネット等(必ず新品で、使用前にはよく水洗いする必要があります)を用いると、マツモが食べられてしまうことを防げます。
マツモが群生する中を飼育水が適度に循環することと、ネットを使用する場合には、マツモが光合成をするのに十分な光量が確保されていることが重要です。
ただ、私が実験した範囲では、確かに金魚がマツモをつついて食べてはいましたが、通常通りの給餌もしており、食べられる量よりも増殖する方が勝っていました。
① | 真水であること。(塩水浴中や薬浴中ではない) |
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② | マツモの適温範囲の水温 15℃ ~ 25℃ で、急な水温上昇や下降をしないこと。(ゆっくり上昇する分には30℃を多少超えても大丈夫) |
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③ |
マツモが十分に成長できる程度の光量があること。 60cm水槽での実験環境は、20wの蛍光灯 × 2本でしたが、低光量でも案外平気です。 |
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④ | 水質をチェックしながら、餌の量を調節して与えること。(マツモが食われる量を抑え、魚も痩せず成長し、最終的にマツモの養分にもなる) |
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⑤ |
水草の養分の中で、不足しがちなカリウムと微量元素を添加する。 実験では 『 テトラ フローラプライド 』 を使用しました。 |
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⑥ |
生えるコケは、イヤでなければ濾過や観賞の邪魔にならない程度に生やす。(スポンジフィルター等がコケで覆われてしまったりしないように) 一部の種類のコケを除き、水質浄化に役立ちます。 |
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ここから先は、初心者の方はピンと来ないかもしれません。それでも、そんなもんなの? で結構ですので、よろしかったらぜひご覧ください。飼育経験を積まれることで、ご理解いただけるようになっていくと思います。
魚のフンや枯れた水草、残餌等の有機物がバクテリアの働きで分解されて、アンモニアやアンモニウムができます。
魚も鰓から直接アンモニアを排泄します。
この有毒な 『 アンモニア 』 や、アンモニア(アンモニウム)が濾過バクテリアによって分解されてできる 『 亜硝酸塩 』 を、さらに 『 硝酸塩 』 へと分解してくれる濾過バクテリアが湧いて定着し、十分な働きをしてくれるようになるまでは・・・
多くの部分をアンモニア(アンモニウム)はゼオライトに吸着してもらい、ゼオライトを取り除いた後は、アンモニア(アンモニウム)と亜硝酸塩をマツモに養分として吸収してもらう。
そして、濾過バクテリアが機能し始めたら、徐々にマツモの量を減らして、濾過バクテリアの守備範囲を拡げる!(^ー^)
ゼオライトとマツモの量、ゼオライトを取り出し、マツモを入れるタイミングがとても重要です!!
ゼオライト : 飼育規模に応じて規定量を基準に、生体の飼育密度や餌の量で増減 (亜硝酸塩濃度が 0.5mg/ℓ 前後になったらすべて取り出す)
マツモ : 飼育水の水量に対して 0.25% を基準 (ゼオライトを取り出したら速やかに入れる)
飼育水10リットル当たりマツモ25gです。(水をよく切った状態で計量)
<飼育水量 / マツモの重量>
10 リットル : 25g
20 リットル : 50g
30 リットル : 75g
40 リットル : 100g (よく行くお店では 5パック)
50 リットル : 125g ↑ お店によって違います。
60 リットル : 150g
70 リットル : 175g
80 リットル : 200g
90 リットル : 225g
100 リットル : 250g
※ 途中、マツモが殖えすぎ、魚の遊泳の邪魔になるようなら、減らす必要もあります(状態の良い新芽の部分はできるだけ残す)。アンモニア(アンモニウム)や亜硝酸塩も多少(微量なレベル)はありませんと、濾過バクテリアの増殖が遅れます。
※ カリウムと微量元素が不足しがちとなり、マツモの水質浄化能力が低下してきます。マツモを交換したりする手間やコストを削減するためには、不足するカリウムと微量元素を添加してやると、マツモの水質浄化能力も保たれ、より長い期間マツモを良い状態に保ち、結果として飼育環境を整えることに繋がります。
60cm × 30cm × 36cm の規格水槽に、50リットルの水量で、金魚を4匹(総魚体重 約150g ・・・ 基準とされる飼育密度の倍ほど)入れて実験した際の、ゼオライトとマツモと濾過バクテリアのバランスのイメージです。ゼオライトとマツモの量を基準に、あくまでもイメージとして書いています。
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上の図の高さを、この水槽で発生するアンモニア(アンモニウム)や亜硝酸塩の量だとします。
左端を1日目とし、右に行くほど日数が経過していくとします。
水色の部分をゼオライトが、グリーンの部分はマツモが担当していた部分で、ピンクの部分が、濾過バクテリアが徐々に担当していった部分です。
図の右端、ピンクの割合が段階的に増えて、濾過バクテリアが担当する部分が増えているのがお分かりいただけますか?
このイメージに、実際に推移した値を反映した表と、グラフを重ねてみます。
2019年5月29日から立ち上げた、60cm水槽での実験の表とグラフも含めたイメージ図です。
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表とグラフは、5月29日から立ち上げた、60cm水槽での実験のものです。
26日でアンモニアも亜硝酸塩も検出されなくなりました。ただし、この時点ではまだマツモの水質浄化能力に頼っています。
そして、グラフの下の図が、先にも示した、マツモと濾過バクテリアに担当を割り振っていたイメージです!(^^)
イメージ図左端に 『 約150gの金魚を飼うことで発生するアンモニア 』 とだけ記載していますが、実際には、従属栄養細菌や濾過バクテリア(細菌)の働きによって、下記 ① ~ ④ に分解(硝化)されていきます。
①有機物 ⇒ ②アンモニア(アンモニウム) ⇒ ③亜硝酸塩 ⇒ ④硝酸塩
ゼオライトにはこのうち ② を
マツモには、② ③ ④ を主に吸収してもらいます。
26日目に、ひとまずアンモニアも亜硝酸塩も検出されなくなってはいますが、実はまだマツモの水質浄化能力に頼ったうえで、一通り ① ~ ④ の役割を担う濾過バクテリアが揃い、機能しているという時期になります。
水槽 : 60cm規格水槽
(60cm × 30cm × 36cm)
水量 : 50リットル
濾過 : スポンジ濾過
(エアリフト式)
底砂: なし
水温 : 27℃前後
(5月下旬~6月下旬)
金魚 : 4匹 総魚体重 約 150g
(基準の倍ほど)給餌 : 水質をチェックしながら 朝・夕
ゼオライトの量 : 規定量 300g
マツモの量 : 125g スタート
照明 : 12時間程度
(蛍光灯 20w×2本)
最終的にでき、水換えしなければ蓄積してしまう硝酸塩は、マツモを10リットル当たり10g程度入れておくことで、マツモが養分としてかなり吸収してくれます。
さらに、良質な毛足の短いグリーンのコケが生えるようなら、観賞や濾過の邪魔にならない程度に生やしておくことで、マツモとコケの相乗効果で、さらに水質を安定させることが可能になります。
ただし、コケを生やしたくないような環境では、お話は別です。
なお、マツモも水草ですので、光がよく当たる場所に置いたり、照明を強化したり、明るい時間を多くすれば、より強力に作用します。
また、不足しがちとなる、カリウムと微量元素を添加することで、より強力で安定した水質浄化能力を発揮してくれます。
さらに言えば二酸化炭素の添加もあることでしょうが、そこまではなかなかできませんし、二酸化炭素の添加までしなくても、マツモは十分に育ちます。
育つということは、養分(アンモニア(アンモニウム)、亜硝酸塩、硝酸塩、リン酸)を吸収してくれるということです。
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① | ゼオライトのアンモニウム吸着能力と |
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② | マツモの水質浄化能力を利用して |
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③ | 魚を飼いながら(飼育規模の基準よりも多い) |
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④ | 餌は水質をチェックしながら与え |
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⑤ | 水換えをしないか、最小限に抑え(水換えできない状況下であっても) |
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⑥ | 欠乏しがちなマツモの養分は添加し(入手が簡単な市販品 カリウム+微量元素) |
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⑦ | 自然に湧く濾過バクテリアが定着して |
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⑧ | 比較的安全な水質を保ちながら |
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生物濾過を立ち上げる。
このような方法は、これまで公表されたことがありませんので、本当にこんなやり方で?と思われるかもしれません。
ここでご紹介させていただいている方法は、観賞魚の中ではかなり水を汚すとされる金魚を、飼育水量に対して、基準とされる飼育数の倍ほど入れた状態でも、一時的に規定量のゼオライトやマツモを多めに入れることで、水換えをしないか、必要最小限に抑えて、自然に濾過バクテリアがしっかりと定着し、飼育水を浄化してくれる環境をつくることができるということを、数値や図、グラフも交えて示したものです。
大型魚(大型の熱帯魚や大きな錦鯉 等)の 『 混泳 』 や、小型魚でも超過密飼育を除いて、大概の淡水魚に応用可能な方法だと思います。
そもそもは、長期的な断水への対応に生かしたいという、強い思いから生み出した方法ですので、可能な限りシンプルでありながらも、より高い安全性に配慮しています。
< ちなみにこれは極論ですが >
水換えをしたくてもできない状況で、マツモ、アナカリス、カボンバが使える状態になるまで、できるだけ日数を稼ぐには、濾過器によく洗浄したゼオライトだけを入れて稼働させ(ウールも入れない)、底砂等も敷かないという方法もあると思います。
こうすることで、濾過バクテリアの定着を敢えて遅らせ、水質をチェックしながら、必要に応じてゼオライトを新しいものに交換します。
上記3種の水草が使える状態になったら、ゼオライトをすべて取り出し、本来の濾材と交換して、底砂等も敷く(清潔なビニール袋等に入れて沈め、そっと拡げる)という方法も可能です。
おかしなことをするようですが、アンモニアの次に問題となる亜硝酸塩の濃度を上げてしまわないようにするには・・・
① 発生自体を抑える
② 上記3種の水草で吸収
③ 濾過バクテリアが硝酸塩に分解
④ 水換えで薄める
※ 亜硝酸塩の吸着剤等は、立ち上げ時に発生して蓄積する亜硝酸塩には量的に対応が難しいため、お勧めできません。
この内まずは ① の発生自体を抑え、アンモニア(アンモニウム)の状態でゼオライトで吸着。② ができる状態になれば、① をやめて ② でコントロールしながら、③ が十分に機能するようになるのを待つということです。
④ の水換えをしたくてもできないというような場合のお話しです。
この場合、② ができるようになるまでは、餌をかなり減らす方が無難だと思います。
これだけ邪魔をしても、それでも濾過バクテリアが自然と定着して、アンモニア(アンモニウム) ⇒ 亜硝酸塩 に分解され始めるのですが、濾過バクテリアが定着できる場所が、飼育容器の内側やゼオライトの表面等、限られた状態ですので、その作用をかなり穏やかにできます。ゼオライトに定着した濾過バクテリアは、ゼオライトを交換すればまたゼロからです。
そして、その少しだけ湧いて定着している濾過バクテリアがすでにいられる環境になっていることで、本来使用する濾材や底砂等が入ることにより、それらの濾過バクテリアが速やかに増殖することが期待できます。
念のため繰り返しますが、これは極論です(^^)
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定期的な水換えは、pHを適正な値に保ったり、生物ろ過で最終的にできて、水草やコケ、植物プランクトンなどによって消費されないと蓄積してしまう、硝酸塩の濃度を下げたり、魚などに害となる菌を減らすためにも必要なことだと思います。
それでもなお、水換えを延ばさなければならないような時にも、この方法は有効です。
<ご注意>
魚の種類や大きさや数、餌の量によっては、一概には言えないということをご理解ください(^ー^)
また、この方法を公表しているのは、個人がしていることですので、学術的な研究レベルほどでは当然ないにせよ、ホビーレベルの試薬での実験で、十分な効果が得られたため、お困りの方がいらっしゃれば、どうぞお試しくださいと公表しています。
ただし、個別に私自身が立ち会えるわけではありませんので、すべての結果に対して自己責任でお願いします。
<2020.02.07追記> アンモニア試薬が入手しづらいような場合について加筆しました。
<2020.01.11追記> マツモの準備がゼオライトの取り出しよりも遅れる場合の対処について加筆しました。
<2020.01.04追記> マツモを水面付近に広く浮遊させた場合に、浮上性の餌が不向きになってくることを加筆しました。
<2019.09.28追記> 極論ですが、マツモ、アナカリス、カボンバが使用できる状態になるまでの日数をできるだけ稼ぐため、濾過バクテリアの定着を敢えて遅らせるという選択肢について加筆しました。
<2019.08.31追記> バクテリア商品の使用について、一切使用しない方法であることを加筆しました。