このページ、何度も表現に手を加えてしまっていますね。お恥ずかしい限りです。すでに愛用されている方々のことを思うと、ふさわしい表現をなかなかみつけられずにいます。
2019年7月7日 ~ 8月4日 28日間
【実験結果】
メダカの環境は 18日間で、金魚の環境はそれから10日後の 28日間で生物濾過を立ち上げることができました。
ただ、私が用意したふたつの環境では、このバクテリア商品の説明にある作用や効果をあまり確認できませんでした。
【実験の内容】 2020.05.16 修正・追記
十分な効果が確認できませんでしたので、商品名は伏せさせていただきますが、人間の健康食品にも利用されている、納豆菌、乳酸菌、酵母菌 等々が含まれるとされるバクテリア商品を使用することで、比較的安全な水質を保ちながら、水換えをしないか、できるだけ水換えすること自体を減らして、飼育環境(生物濾過)を立ち上げることができるかどうか試してみました。
天災などの影響により、断水してしまって水換えをしたくてもできないような危機を切り抜けられるということをテーマにしています。
私自身はバクテリア商品を使用しない飼育スタイルですが、最近お店でもネット上でも、様々なバクテリア商品を目にします。
バクテリア商品をまったく使わなくなってから 15年は経ちますが、それだけ経てば、はっきりと効果を確認できる商品が出てきているかもしれず、勧めていただいたこともあり試してみました。
実験環境 スタートから19日目まで
実験環境 20日目から28日目まで
① 有機堆積物(フンやバクテリアの死骸、その他有機物)が速やかに分解され、乳酸菌等が、生体内にも取り込まれ、消化吸収を強化してくれること。結果排泄されるフンが減ったり、消化吸収が促進されて、成長や健康面で良い効果があること。
② 商品説明にあるように、アンモニア(アンモニウム)、亜硝酸塩、硝酸塩 が速やかに分解され、良好な水質を維持し、水換えの周期を延長できること。
③ ②の効果により、天災などの影響により、断水して水換えができなくなったような場合に、このバクテリア商品を使用することで乗り切れること。
|
|
① |
水槽・水量: W 15cm × D 15cm × H 20cm 水槽に、水深を下げて新水を 3リットル 水温 28℃前後 フタあり |
|
|
② | 生体: <A> ・ メダカ 3匹 ・・・ 総魚体重 1g 弱 <B> ・ 琉金 1匹 ・・・ 魚体重 5.4g 琉金は、この水量で基準としている魚体重 3.75g からすると 1.65g(44%) 重いです。(40ℓの飼育環境で50gの金魚を飼育することを仮の基準としての、あくまでも単純計算です) |
|
|
③ | ろ過器:スポンジろ過(ベタのフィルター) |
|
|
④ | 底砂 : 大磯砂 砂粒同士が重ならず、底のガラスが見える程度 |
|
|
⑤ | 餌 : メダカの餌を、メダカと金魚ともに同量、水質に関係なく、朝夕与えます。 |
|
|
⑥ | 照明 : 15wのLED 1灯 12時間ほど(2つの水槽で共有) |
|
|
⑦ |
水換えする条件 ① 総アンモニア(NH3 と NH4)濃度から、水温とpHから算出した、有毒で危険なアンモニア(NH3)濃度が危険な値(0.15mg/ℓ 前後)になった場合。 危険なアンモニアの含有率 については ・・・ こちら ← 新しいページで開きます。 ② 亜硝酸塩濃度が 1.6mg/ℓ 以上になった場合。(マツモ等の亜硝酸塩を吸収してくれる水草が入っていないため早めに水換え) 水換えの量は水質によって判断。 |
|
|
⑧ | バクテリア商品の添加 スタート時、水換えをしたとき、もしくは水質が悪化しそうなとき、実際にアンモニア濃度や亜硝酸塩濃度が高くなってきているときに適宜添加。 添加量もその時の状況で判断 |
|
|
※ 中に入れる生き物は、できる限り、ろ過バクテリアを持っていないに近い状態にしています。 ※ 水槽や濾過器等は60℃ほどの熱いお湯で滅菌し、ろ過バクテリアや雑菌がほぼいない状態にしています。 水槽等の飼育器具一式と、金魚やメダカ、熱帯魚等の生体を同時に購入することをお勧めするための実験ではありません(^ー^) 購入された生体は、病気を持っていないかの確認を一週間から10日はかけてしたほうが良いかと思いますし、例え良い菌でも持っている菌を検疫水槽(バケツなど)で出してもらった方が何かと良いと感じています。 (検疫期間1ヶ月以上という方もいらっしゃいます) |
< 補足説明 (^^) >
・ 飼育容器内側の清掃を適宜、熱殺菌したタワシで行います。
・ 足し水を適宜行い、実質3リットルの水量をキープしています。
・ コケの発生やグリーンウォーター化には無理に逆らわず、対応できる範囲内であれば除去。
※ 趣味で使用する精度の試薬を使用し、微妙な違い(中間的な色)は目で見て判断し、表記の値としています。
<<実験結果>>
メダカの環境のデータです。
↓ タップ(クリック)すると大きな画像を 新しいページで開いて表示します。 ![]() |
18日間で生物濾過が立ち上がりました。
水換えについては、どうにか14日目の1回だけで立ち上がっていますが、6日目から12日目の間に、2回は水換えしたくなるような値ではあります。
14日目の水換えを境に、亜硝酸塩濃度が急降下して、以後4日で生物濾過が立ち上がっていますが、水換えしたこと、亜硝酸塩を硝酸塩に分解するバクテリアの活動が活発になったことが重なってのことだと思います。
硝酸塩濃度も14日目の 60mg/ℓ から4日間で急降下していますが、これは、水換えしたことと、発生してきたコケとグリーンウォーター化してきたことで、コケと植物プランクトンによって硝酸塩が吸収されてのことと見るのが自然だと思います。
~ ・ ~ ・ ~
金魚の環境のデータです。
↓ タップ(クリック)すると大きな画像を 新しいページで開いて表示します。 ![]() |
メダカの環境が立ち上がってから10日後の、28日間で生物濾過が立ち上がりました。
餌の量はメダカ3匹とほぼ同量なのですが、体重が7倍もある金魚となると、水を汚すレベルが違いますね(^_^;)
グラフ振り切っています。
有害なアンモニア(NH3)の推定値が危険な値になるまで水換えをせずに経過を見ました。
これは個人的な想像でしかありませんが・・・
23日目から26日目までの4日間、亜硝酸塩濃度が 0.5mg/ℓ 前後まで低下してきて横這いしています。
飼育環境内(スポンジ濾材や底砂、容器の水に触れる部分等すべて)に、亜硝酸塩から硝酸塩へと分解(硝化)してくれる濾過バクテリア(ニトロスピラ属)が増殖し、定着する余地があまりなかったのではないでしょうか?
顕微鏡も持たず、試薬での検査結果だけでの推測ですが、バクテリア(細菌)も無尽蔵に増殖できるわけではありませんので、先に様々な菌種が定着していたとしたら、考えられなくもないかなと思っています。
また、硝酸塩濃度がゼロまで低下していますが、これはグリーンウォーター化と水換えによって低下してきていますので、バクテリア商品の効果ではないでしょう。
このことは、スタートから14日目まで、水道水に元々含まれていた硝酸塩濃度のままで、その後濃度が上昇したことからも言えることだと思います。
金魚の環境の振り切ったグラフを上まで見えるようにしたものです。
↓ タップ(クリック)すると大きな画像を 新しいページで開いて表示します。 ![]() |
なお、有毒で危険なアンモニア(NH3)が、即危険という値にはなっていないため、このような値でも、各鰭の張りや、色艶も良く、餌を与えれば飛びつくようにして食べます。
だからと言って、このような値まで水換えしないことをお勧めはしません。
5日目以降、さらに3・4回は水換えしたくなるような値です。
<実験の結果から>
NH3・NH4(アンモニア・アンモニウム)、NO2(亜硝酸塩)、NO3(硝酸塩) これら頭文字が ” N ” の窒素化合物に対する作用を、私が用意した環境では確認できませんでした。
この商品を添加しながら立ち上げた環境では、商品説明にある作用というよりは、自然と定着して増殖する、従来の濾過バクテリアの働きと思われる、典型的な立ち上がり方をしました。
①有機物 ⇒ ②アンモニア(アンモニウム) ⇒ ③亜硝酸塩 ⇒ ④硝酸塩
< アンモニア ・ 亜硝酸塩 を分解する効果について >
アンモニア濃度・亜硝酸塩濃度、どちらもかなりの高濃度まで上昇し、途中水換えをしながらの立ち上げとなりました。
アンモニア濃度が上昇するペースだけについて言えば、以前、冬(水温20℃前後)でしたが別の実験で、水1リットルにメダカの若魚2匹(今回よりも過密)だけを入れて、餌を与えて簡単な対照実験をした際(図1)とほぼ変わらないペースで上昇しました。
<図1 : 以前 対照実験した際の水質 7日間>
↓ タップ(クリック)すると大きな画像を 新しいページで開いて表示します。 ![]() |
↑ この実験 については ・・・
こちら ← 新しいページで開きます。
つまり、私が用意した環境では、このバクテリア商品のアンモニア(アンモニウム)に対する分解能力を確認することはできませんでした。
また、実際の経過や水換えの頻度から、亜硝酸塩に対する分解能力についても確認することができませんでした。
< 硝酸塩 を分解する効果について >
水道水に元々含まれる濃度から、メダカの環境では9日間、金魚の環境では14日間に渡って変化せず、亜硝酸塩 ⇒ 硝酸塩 へと分解されるようになると、ぐんぐんと濃度が上昇し、コケが多く発生したり、グリーンウォーター化するまで上昇を続け、これらが発生してから濃度が低下しました。コケや植物プランクトンが吸収したことで、硝酸塩濃度が低下したのだと思います。
硝酸塩に対する分解能力についても、確認することはできませんでした。
< 生物濾過が立ち上がるまでの期間を短縮する効果について >
① 亜硝酸塩が検出されるまで
メダカの環境 : 10日
金魚の環境 :14日
※ 効果を確認できませんでした。
② 亜硝酸塩が検出されてから硝酸塩濃度が上昇しはじめるまで
メダカの環境 : 0日
金魚の環境 :1日
※ バクテリア商品を使用しない場合でも同じくらいです。
③ 亜硝酸塩が検出されていた日数
メダカの環境 : 8日間
金魚の環境 :14日間
※ 金魚の環境では長引いてしまいました。
メダカの環境が18日、金魚の環境では28日で生物濾過が立ち上がっています。夏で水温が高めなこともあり、メダカの環境では早期に立ち上がりましたが、金魚の環境では少し長引きました。とはいえ、28日という日数でだけ見れば決して長引いてはいませんが、実験結果の金魚の環境のグラフの亜硝酸塩濃度の低下の仕方(0.5mg/ℓ という比較的安全な値まで低下してきてから4日間も横這い)から、長引いたと感じています。
全体として、生物濾過が立ち上がるまでの期間がこのバクテリア商品の作用で短縮されたとは言えなさそうです。
さらに付け加えますと、上記①~③は、自然と定着して増殖する、従来の濾過バクテリアの働きによるものと思われます。
商品の説明から、天災などの影響で断水してしまって、水換えしたくてもできないような状況になった場合でも、このバクテリア商品が有効なのではないかと思い、試してみました。
しかし、私が用意したふたつの環境での実験では、そういう非常時に対応するのは難しそうだという結果となりました。
<感覚として確認できた効果>
① 有機堆積物(デトリタス)の分解
フンや堆積しがちな有機物が、かなり減るように感じます。速やかに分解されるようになるからか、消化吸収の効率が向上して、汚れにくくなっているのか等、詳細は分かりません。
② 立ち上げ時の白濁抑制
立ち上げ時に起こりがちな白濁を、ある程度抑制できました。金魚の環境では若干白濁しました。
個人的な感想ですが、新しい環境の立ち上げに使用するというよりは、すでに安定して生物濾過が機能している環境に、濾過能力の底上げとして使用すると、上記①の効果が期待できるのではないかと感じました。実際にその用途で使用されている方もいらっしゃいます。
特に、低床がソイルや赤玉土のように、掃除しにくいかできない環境では、より効果を発揮しそうにも思われます。
ただし、すでに安定した環境に別のバクテリア(細菌)を入れることは、ある程度のリスクを伴うと思います。
立ち上げ初期の白濁を抑制する効果についても、立ち上げ初期に不安がある場合には有効だと思います。
水換えの周期延長について
有機堆積物が減ることから、多少は水換えを延ばせそうにも感じますが、有機物の分解が促進され、結果 アンモニア(アンモニウム) ⇒ 亜硝酸塩 ⇒ 硝酸塩 と分解(硝化)される量が増え、硝酸塩が蓄積するスピードも増すのであれば、水換えまでの期間はそんなに変わらないか、逆に短くなる可能性すらありえるのではないかと感じます。
今回の実験では、コケが生えたり、グリーンウォーター化したため、コケや植物プランクトンに硝酸塩が吸収されて、硝酸塩が蓄積することなく、かなり低い値になって行ったのだと思っていますが、そうでなければ、硝酸塩がどんどん蓄積したことでしょう。
<最後に>
私が用意した環境では、確認できた効果が限定的でした。実際にご愛用中の方々も多くいらっしゃることでしょうから、実験結果を公表しないでおこうかとも思いました。
かなり迷いましたが、これからアクアリウムを始める方々や、初心者の方々が、飼育環境の立ち上げにと思って購入したものの、思ったような結果が得られず、混乱したり戸惑ったりすることもあるかと思われ、このページを目にしてもらえる可能性は低いのかもしれませんが、あくまでもひとつの例としてご覧いただけたらと思いましたし、中長期的な断水などの非常時に、商品の説明を見て使用したものの、期待したような効果が得られなかった場合には、かなり厳しい状況になってしまいますので、あくまでも私が用意した環境での一例として公表しました。
勧めていただいたものを実験し、あまり好ましくない結果を公表することに関しては、非常に失礼な行為だと、申し訳なく思うと同時に、心から恥じています。
同じような菌種のバクテリア商品をご使用中の方々がご覧になっても、不快な内容かと思われます。ご気分を害されたら申し訳ありません。
商品の説明から、天災などの影響により、断水してしまったような場合でも、これらの菌種のバクテリア商品が有効であってくれればと思い、試してみましたが、そのような場合に、これらの商品で乗り切ることはできなさそうです。
<ご注意>
魚の種類や大きさや数、餌の量によっては、一概には言えないということをご理解ください。