このページは2019年9月に千葉県、静岡県、神奈川県を中心に大きな被害をもたらした、台風15号により二週間以上にも及ぶ停電や断水が発生した際に作成したものです。
<2020.07.08 断水時 加筆修正>
<2020.01.04 動画入れ替え>
停電や断水時、アクアリストが飼育している生体を守るためにどのような方法が考えられるか、あくまでも個人的な提案ですが書かせていただきます。
<まず最初に>
生体の大きさや飼育数、水量、水面の面積、通気性(フタの有無)、水温等々要素は複雑ですが、何もしなくても、酸素が水面から自然と溶け込むことで、酸欠になるのを逃れられることもあります。
それでも酸欠を起こしそうなら、以下 動画 3つをご覧ください。
1. 泡立て機とザルを併用
泡立て器(お箸やフォークでも可能)とザルを併せて使用しているのは、ザルで生体を保護するためです。熱帯魚のディスカスのように、怯えて逃げ惑うような魚種には難しいでしょうが、一般的な魚種で、容器の大きさに余裕がある環境では、使える方法だと思います。
2. コップや瓶、お皿等を使って
2018年9月6日に発生した、北海道胆振東部地震の影響で停電された方が、確かピッチャーと水槽のガラス蓋を使用して実践されている様子を、Facebookのあるグループ内で公表されていました。こちらも、怯えて逃げ惑うような魚種には難しいでしょうが、一般的な魚種で、容器の大きさに余裕がある環境では、理にかなった素晴らしい方法だと思います。(この例ではコップとお皿を使用しています)
3. コップや瓶等を使って
実際には、できるだけ飼育水に手が触れずに済むものを使用される方が、手に着いた汚れや皮脂、汗等で水質を悪化させたりしにくいです。(ペットボトルを使用する方法もネット上で紹介されています)
他にも方法はいくつもあることでしょうが、上記3つはロウソクの明かりでも、手近にあるものでできます。必ず清潔なものを使用してください。
また、コップ等で汲んでは戻しを繰り返す場合には、そのことによって底砂等の中の汚れを巻き上げたりしないように、水槽の蓋や清潔な食器などで水を受けて、水流の向きを変えたり、分散させたりしてください。
なお、これらの方法での酸素の供給は、生体の様子を見ながら時々で大丈夫です。
また、幅60cmほどまでの比較的小さな飼育容器や、警戒心の強い生体では、逃げ惑って怪我をさせたり、怯えさせたりする可能性がありますので十分にご注意ください。
物流網が機能していれば、手動だけでなく、ソーラー発電の器具を使用する方法もあります。
<ソーラー発電の噴水です>
![]() |
スポンジ ↑ は付属していません。
商品は こちら
この商品は 2,000円ほどで amazon等で購入できます。
以前、60のプラフネ(実質50リットル)で屋外で大きな金魚を何匹も飼育した際に、濾過の助けと酸素の供給に使用したことがあります。類似の商品も多くありますし、ソーラー発電のエアポンプもあります。
夜間は電池式のエアポンプを併用されるのも良い方法だと思います。
噴水は水を噴射させず、動画の45秒過ぎ辺りのように、水面がモワモワとなる程度でも、密飼いでなければ十分に酸素が供給されます。(水温が35℃を超えたときにも大丈夫でした)
ソーラープレートを日当たりのよい場所に設置できれば、室内でも工夫次第で酸素の供給や濾過の補助として使用できます。
2018年8月から実際に1年間使用していた際の動画です。災害が発生する1年あまり前に作成した動画ですので、動画内のコメント等の表現に、ふさわしくない部分もあるかと思われますがどうぞご理解ください。
画像では例として、水を張った洗面器にリング濾材を直接入れています。
![]() |
この洗面器を水槽だと思ってください。停電などで濾過器が稼働しなくなり、復旧の見通しっが立たないような場合には、濾材が飼育水に直接触れるようにすれば、濾過バクテリアの働きで水質の悪化を緩和させることができ、濾過器が停止したことでの、濾過バクテリアへのダメージも軽減できます。
a. 上部濾過、外部濾過、外掛け式、オーバーフロー 等
濾材を飼育水槽に直接入れてしまいます。入れる量は濾過の種類にもよりますが、多いほど効果的です。(必要に応じて、台所用品のネットがあればそれに入れる等)
b. 投げ込み式やコーナーフィルターで、濾材がカバーに入っているもの
濾材をカバーから出して、飼育水槽に浸けておくだけでも、だいぶ違います。
※ 生体が起こす水流や自然と起こる対流、屋外なら風が吹くことで起きる水流で水が循環します。
濾過槽内の各種菌や寄生虫(白点虫 等)が出てきて、悪影響というご意見もあることでしょうが、濾材を飼育水で軽くすすいでから飼育水槽内に入れれば、元々寄生虫がいない環境では問題はまず起こりません。
こればかりは飼育環境次第です。
断水への対応につきましては、以前から実験を繰り返してきました、マツモを使用した方法をお勧めいたします。
『 条件付き 』 ですが、アナカリスや カボンバで代用することも可能です。
(立ち上がり具合が、どの段階でも対応可能)
(飼育し始めたばかりか、生物濾過を立ち上げ直す場合で、すぐにはマツモが入手できない場合)
Section1(方法) Section2(手順)を一通りご覧ください。
その中で、今の実際の状態に沿うところからになります。
なお、すでに生物ろ過が機能して、飼育環境が立ち上がっている場合で、水換えを延ばす必要がある場合には、マツモで立上げ① なら 『 手順 ⑫ の 「 ただし 」 以降 』 から。マツモで立上げ② なら 『 手順 ⑮ の 「 ただし 」 以降 』 からとなります。(この部分に関してはどちらも同じ内容です)
上記手順(⑫ または ⑮)では、すでにマツモが飼育環境に入っている前提で記載しています。
例) 『 50リットルの飼育環境なら、マツモが50gほどになったら、それ以上は取り出さない 』 というのは、これまでまったくマツモが入っていなかった場合には、50リットルの飼育環境なら、マツモを50g以上入れるということでご理解ください。
断水でお困りの方のお手伝いをされる場合は
断水中の方への救済 をご覧ください。
< 重要 >
停電により照明が点けられない状態では、水草を入れることで、場合によってはかえって酸素を消費されてしまうため、注意が必要となります。水草も呼吸をしているからです。以下は日中、飼育環境がそれなりに明るくなる環境にある場合についてです。
水草を入れることで、光合成での酸素の供給と水質の浄化が期待できます。
暗めの環境で実験をした際 『 マツモ 』 はあまり明るいとは言えない環境でも、光合成ができているようでした。それ以外の水草ではどうか?それは実際に試していませんので残念ながら分かりません。
具体的にどの程度の明るさかというデータまで残せていませんが
その実験の内容は こちら です。
例えば、日頃上部濾過とライトをお使いであれば、濾過器とライトを撤去するなどすれば、十分実現可能な明るさではないかと思います。
※ カーテン等を閉め切ったりといった環境では、いくら上部濾過やライトを撤去しても、水草が光合成をするに足りる光量を確保することは難しいことでしょう。
災害などの非常時には、人間の救済が第一優先なのは当然のことですが、失わずに済むものならば愛着のある生き物の命も救いたいという思いで書いています。ご理解いただければ幸いです。