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知って得する豆知識                          

1、団体交渉(団交)  労働組合の有利性         トップへ

 労働者は1人で会社に対して申し入れや交渉をしようとしても、相手にされないことがよくある。
 しかし、労働組合として団交を要求した場合、会社側は団交に応じる義務が生じる。
 これは、憲法第28条に規定する団体交渉権に基づくものであり、団交拒否は労働組合法第7条に規定する不当労働行為として禁止されている、つまり憲法違反、法律違反となる。


2、整理解雇の4要件 経営者は勝手に解雇できない 

整理解雇の4要件

次のいずれが欠けても解雇権の濫用となり、無効である

@人員整理の必要性

 整理解雇を行うには、相当の経営上の必要性が認められなければならない。
 倒産の危機など、整理解雇がどうしても避けられない経営上の必要性があるのか。

A解雇回避努力義務の履行

 期間の定めのない雇用契約、または契約期間中においては、解雇は最後の選択手段であることを要求される。
 整理解雇の前に、役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向等、整理解雇を回避するための相当の経営努力がなされたか。

B被解雇者選定の合理性

 人選基準と具体的人選も合理的かつ公平でなければならない。
人選基準はどのようなものか。どうしてAさんなのか。

C手続の妥当性

 手続の妥当性がない整理解雇は、他の要件を満たす場合であっても無効とされるケースが多い。
 整理解雇に当たって、当事者に説明・協議、納得を得るための手順を踏んでいるか。



3、解雇予告制度 解雇は30日前の予告が最低必要

 @使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前に その予告をしなければならない。(労基法第20条)
 Aあるいは、30日分以上の平均賃金(予告手当)を支払わなければならない。
 B但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
 Cまた、下記の労働者は除外される

除外される労働者

しかし

1.日日雇い入れられる者

1箇月を超えて引き続き使用される場合は除外されない

2.2箇月以内の期間を定めて使用される者

所定の期間を超えて引き続き使用される場合は除外されない

3.季節的業務に4箇月以内の期間で使用される者

所定の期間を超えて引き続き使用される場合は除外されない

4.試の使用期間中の者

14日を超えて引き続き使用される場合は除外されない

 
 なお、予告手当を出せば勝手に解雇できるという意味ではない。上記の「整理解雇の4要件」に合致していなければならない。
 さらに、労災職業病の療養期間とその後30日間、産前6週間、産後8週間とその後30日間は解雇できない。

4、時間外労働  協定と割増賃金が必要    トップへ

 1日8時間、1週40時間以上の労働は時間外労働となる。使用者は勝手に時間外労働を命じることはできない。また、時間外労働には下記の割増賃金が必要になる。
 @「時間外労働・休日労働に関する協定」(通称「36協定」)は結ばれているか、労働基準監督署に届けているか。36協定を届けてなければ、労基法違反。
 A時間外労働は支払われているか。下記の割増がついているか。2010年4月1日施行で60時間規定に。ただし、中小企業は除外。
 
割増率一覧  

時間外・休日・深夜労働

割増率

月45時間まで

現行通り25%以上

月45〜60時間まで

25%+アルファ(労使で協定)

月60時間以降は

50%以上(中小企業は除外)

午後10時から午前5時までの深夜労働

25%以上

法定休日 35%以上







 


 B長期に賃金不払いの場合、遅延損害金の要求も可能。
遅延損害金は、退職労働者の場合は年利14.6%を請求できる(賃金の支払の確保等に関する法律6条)現職で相手が営利企業の場合は6%(商法第514)、非営利団体の場合は5%民法第404などとなる。非営利団体には、NPOの他、学校法人、医療法人、財団法人も含まれる。

 C悪質な賃金不払いの場合には、裁判所は、労働者の請求に基づき、100%(賃金と同一額)の付加金の支払いを命ずることができる(労働基準法114条)。



トップへ 5、年次有給休暇 パートにも保障されている   

 @使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上
  出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した有給休暇を与えなければならな
  い。(労基法第39条)
 Aパートタイムにも与えられる。労働日数による有給休暇数は下表の通り。
 B解雇などの場合は買い取りを請求できる。
 C2010年4月1日以降は5日分の有休は時間単位での取得も可能になる。

勤務年数

             所定の労働日数による有給休暇日数
 週5日  週4日 週3日 週2日   週1日
週30時間以上  年169〜216日  年121〜168日  年73〜120日  年48〜72日

6箇月後

10労働日

 7労働日  5労働日  3労働日  1労働日

1年6箇月

11労働日

 8労働日  6労働日 4労働日 2労働日

2年6箇月

12労働日

 9労働日  6労働日  4労働日  2労働日

3年6箇月

14労働日

10労働日  8労働日  5労働日  2労働日

4年6箇月

16労働日

 12労働日  9労働日  6労働日  3労働日

5年6箇月

18労働日

 13労働日  10労働日  6労働日  3労働日

6年6箇月

20労働日

 15労働日  11労働日  7労働日  3労働日
















 (週の所定労働日数が5日以上又は週の所定労働時間が30時間以上の労働者はフルタイム)


6、賃金立替払い制度 倒産の場合の未払い賃金を保障

 「未払賃金立替払制度」は、企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払する制度です。

 全国の労働基準監督署及び独立行政法人労働者健康福祉機構で制度を実施しています。

 立替払を受けることができるのは、次の要件を満たしている場合です。
(1) 使用者が、
[1]  1年以上事業活動を行っていたこと
[2]  倒産したこと
 大きく分けて次の2つの場合があります。
 法律上の倒産
 ([1]破産、[2]特別清算、[3]会社整理、[4]民事再生、[5]会社更生の場合)
 この場合は、破産管財人等に倒産の事実等を証明してもらう必要があります。
必要な用紙は労働基準監督署に備え付けてあります。
 事実上の倒産
 (中小企業について、事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払能力がない場合)
この場合は、労働基準監督署長の認定が必要ですので、労働基準監督署に認定の申請を行って下さい。
(2)  労働者が、倒産について裁判所への申立て等(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署への認定申請(事実上の倒産の場合)が行われた日の6か月前の日から2年の間に退職した者であること

〔参考〕立替払を受けることができる人

 労働者は、未払賃金の額等について、法律上の倒産の場合には破産管財人等による証明を、事実上の倒産の場合には労働基準監督署長による確認を受けたうえで、独立行政法人労働者健康福祉機構に立替払の請求を行いますが、これは破産手続開始の決定等がなされた日又は監督署長による認定日から2年以内に行う必要があります。


7、雇用保険(失業保険)の制度 自己都合の退職は絶対に損

 雇用保険は、雇用保険法に定められた雇用保険事業(失業等給付と雇用安定事業、能力開発事業)を行うために国が運営する保険制度。かつての失業保険の制度は廃止され、それに代わるものとして1974年に創設された。
 自己都合による退職(離職)にすると、給付日数、受給資格、待機期間などで損をすることがある。
 解雇あるいは退職勧奨による退職は、特定受給資格者に該当する。
 
1)給付日数 自己都合の退職は給付日数が短くなる場合がある
 
 失業による基本手当の給付日数は、@特定受給資格者・特定理由離職者、Aその他の離職者、B就職困難者、で異なる。具体的には以下の通り。

 @特定受給資格者(倒産、解雇等の場合)、特定理由離職者(雇い止めの場合や、自己都合の退職でも、心身の障害、出産、介護等の、正当な理由がある場合)の所定給付日数は以下の通り。


 Aその他の一般の離職者(下記の就職困難者は除く) 自己都合の退職はこれに該当する


 B就職困難者


 *雇用保険制度は頻繁に変更されており、ハローワークのホームページなどでチェックする必要がある。

2)支給額

 雇用保険で受給できる1日当たりの「基本手当日額」は、原則として離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(賞与等は除く)の合計を180で割って算出した金額のおよそ50〜80%(ただし60歳〜64歳については45〜80%)となっている。それらの範囲で、賃金の低い人ほど高い率となる。

 基本手当日額は、上限額が年齢区分ごとに、以下の通り定められている。

(平成23年8月1日現在)

上限額
30歳未満 6,455円
30歳以上45歳未満 7,170円
45歳以上60歳未満 7,890円
60歳以上65歳未満 6,777円


3)受給資格

 雇用保険の被保険者が離職して、次の1及び2のいずれにもあてはまるときは一般被保険者については基本手当が支給されます。

  1. ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
    したがって、次のような状態にあるときは、基本手当を受けることができません。
  2. 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。自己都合による退職はこれに該当する。
    ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。
4)待機期間 自己都合の退職は給付が3か月先に延びる

 雇用保険の基本手当は、離職票の提出と求職の申込みを行った日(受給資格決定日)から通算して7日間を待期期間といい、その期間が満了するまでは雇用保険の基本手当は支給されない。これは、離職の理由等にかかわらず、一律に適用される。

 さらに、待期期間の満了後に一定の期間、雇用保険の基本手当の支給が行われない場合もあり(給付制限)、主なものとして以下に挙げる理由がある。

  1. 離職理由による給付制限
    正当な理由なく自己都合により退職した場合及び自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された(いわゆる重責解雇)場合は、待期期間終了後、更に3か月間の給付制限がある。
  2. 紹介拒否等による給付制限
    受給資格者が、公共職業安定所からの職業の紹介や指示された公共職業訓練等を正当な理由なく拒んだ場合、その拒んだ日から起算して1か月間は雇用保険の基本手当が支給されない。
    また、同じく再就職を促進するために必要な職業指導を正当な理由なく拒んだ場合にも、同様の給付制限がある。

 なお、実際に雇用保険の基本手当として初めて現金が振り込まれるのは、給付制限のない人でも、公共職業安定所で求職の申込みをしてから数えて約1か月後(初回認定日の約1週間後)になる。



8、労働基準法 就業規則や社長命令より優先     トップへ

これに反する就業規則は違法
第1章 総 則 (第1条〜第12条)
第2章 労働契約 (第13条〜第23条)
第3章 賃 金 (第24条〜第31条)
第4章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇 (第32条〜第41条)
第5章 安全及び衛生 (第42条〜第55条)
第6章 年少者 (第56条〜第64条)
第6章の2 妊産婦等 (第64条の2〜第68条)
第7章 技能者の養成 (第69条〜第74条)
第8章 災害補償 (第75条〜第88条)
第9章 就業規則 (第89条〜第93条)
第10章 寄宿舎 (第94条〜第96条の3)
第11章 監督機関 (第97条〜第105条)
第12章 雑 則 (第105条の2〜第116条)
第13章 罰 則 (第117条〜第121条)

9、労働組合法 労働組合で闘うと法律的にも有利 

労働者が使用者と対等の立場に立つために
第1章 総 則 (第1条〜第4条)
第2章 労働組合 (第5条〜第13条の14)
第3章 労働協約 (第14条〜第18条)
第4章 労働委員会 (第19条〜第27条の26)
第5章 罰 則 (第28条〜第33条)
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