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      作品世界の補完
7    20000703▼作品設定『シリー・ウォーへの道』(3)その国々
20000703▼
作品設定『シリー・ウォーへの道』(3)
               
 
 その時代を彩る国々、星間国家群。                     
           
 
●《連邦》(ユニオネア)
 銀河中心軸方面を支配する最大最強の複合国家。
 百以上の居住惑星を擁する《連邦》本国と、数十の衛星国家からなる。
 議院内閣制をとり、国民の投票によって選ばれた議員、および得票数に応じて政党が指名する議員が議会を構成し、全議員の投票により選出された大統領が行政権を統轄する。
 民主主義の制度を完備した国家である。
 ただし、種々の世論操作により、実際に有効票を投じる有権者は、全国民の二割に満たない。政党は七つあるが、五代にわたって大統領を輩出したワイバー家の血縁者が全政党の党首を務め、議員の全員がワイバー家の関係者によって占められる。種々の世論操作により、ワイバー家関係者でない者が議員に立候補することはありえない。政界、学会、芸術界の有力団体の要職は公選であるが、立候補するのはワイバー家の関係者が一名のみである。
 国民が選択できる職業は基本的に世襲である。SF作家から屋台のラーメン屋まで、開業には国家試験が課せられ、その許認可権は関係省庁が握っている。もちろん省庁の管理職も、外郭団体の役員もワイバー家関係者が独占している。かれらの認可がないかぎり、介護保険のサービスひとつ受けられず、失業することすら許されない。
 その反面、ワイバー家に取り入ることができれば、税金の免除、犯罪のもみ消し、交通機関のタダ乗りなど、各種の便宜を手にすることができる。もちろん法律は受託収賄や便宜供与を禁じているが、裁判官の椅子もすべてワイバー家関係者によって占められている。ある判事いわく「もちろん法は万人に平等である。ただ、法を適用するか否かを判断するのが我々の権限である」。ワイバー家関係者には、ときとして法が適用されない。
 民主主義の制度を完備した国家であるが、その制度が完全に機能していない民主国家。それが《連邦》である。
 世襲の高級将校が支配する《連邦》国軍の戦力は銀河最大であり、約十二万隻の実働艦隊は、周辺国家に対して、武力の支配を可能にしている。
 ジルーネ・ワイバーは現大統領の三女であり、シリー・ウォーズ勃発時点の年令は十六歳。この年令にして教育大臣、情報産業大臣、芸術アカデミー総裁を兼任し、《連邦》第七艦隊の司令長官をも努めている。
 
更新日時:
2006/02/15

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