20000702▼
作品設定『シリー・ウォーへの道』(2)
その舞台。銀河第二腕、回廊星域。
回廊(コリドール)星域。
はるかな昔、大型の移動性二重ブラックホールが、銀河の中心方面から辺境星域へと、星々のひしめく星腕……銀河第二腕を貫いて駆け抜けていった。
そのあとに残された、巨大なトンネル空間。星間回廊。
銀河中央(セントラル)と辺境(リムボ)を結ぶ良好な交通路であり、四十九の王国が国境を重ねあわせる不穏な空域。
ここが、シリー・ウォーの当面の舞台だ。
回廊をはさんで、銀河を二分するかと思われる軍事勢力。
ひとつは《連邦》(ユニオネア)。銀河中央域を支配し、大無敵艦隊十万余の戦力を誇る。民主主義の制度を完備し、その制度が完全に機能していない、世襲官僚国家。
かたやトランクィル廃帝政体(アナーク)。銀河辺境域に散らばり、星海艦隊(スターシーズ・フリート)六万余の戦力で市民の自由を守る。歴史的な事情で政府を持たず、その機能をアルバイトに外注する無政府国家。
そして回廊星域の王国、多数の小さな独立国。それらの航宙艦隊は、合計して数万隻。
《連邦》とトランクィルが対立し、もし戦えば、その勝敗を左右するのは……これら不安定な小国家の艦隊戦力だ。
十対六、この戦力比率が、あるとき《連邦》に勝利の自信を抱かせ、トランクィルに苦渋の参戦の決意をさせるだろう。
その導火線を、あるひとりの少女が握ったとき、
シリー・ウォーは勃発した。
銀河文明の存亡をかけたその戦いはまた、
過去数千年の隠された歴史をになってきた普通の人々を、
結びつける十字路であり、
宿命の十字架であった。
《連邦》…………回廊星域…………トランクィル廃帝政体
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