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6    20060204『コンコルド』

『コンコルド』

コンコルド
 
コンコルド。“白い怪鳥”。
いつか、乗りたいなあと、憧れていた。
なんといっても超音速。
20世紀の科学の粋。そして21世紀への夢の翼。
そう、コンコルドに乗りさえすれば、
普通の人だって、音よりも速く飛べるのだ。
 
『サンダーバード』の第一話で、
“超音旅客機”ファイヤーフラッシュ号が、
どかんとソニックブームを飛ばして、上昇してゆく、
人が侵すべからざる、神の領域へ挑むかのように。
かっこいいのだ。超音速の世界って。
その雄姿を見てからというもの、
コンコルドは、現実に叶えたい夢となった。
 
そして21世紀。
コンコルドは早々に翼を畳み、リタイアしていった。
その直前に墜落事故を起こし、
乗員乗客全員死亡という惨禍を残して。
神の領域を侵す者への天罰だったのか。
そう思うのは迷信で、
ただの人為ミスにすぎなかった。
 
しかしそれでも、コンコルドは、
神の世界へ飛ぶにふさわしい、優美な機体だ。
細く、まっすぐに、すらりとした胴。
垂直尾翼の、思い切った直線カットと、
ぴんと後ろへ延ばした尻尾の誇らしさ。
主翼前縁の優雅な二重のカーブが、
若き貴婦人のドレスのトレーンを思わせて、
デリケートなひねりの下反角は、
微風にゆらぐスカートのよう。
 
20世紀が生み出した、
世界一の、綺麗。
それは今も、飛び続けている。
夢の世界で、神々とともに。
 
 
 
更新日時:
2006/10/01

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Last updated: 2010/1/11

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