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45    20100102『寅年はタイガー(2)』

20100102
ヤークトティーゲル。画像にカーソルを置くと別カット。
 
 
寅年はタイガー(2)
 
 
 
垂直装甲の頑固武者、ティーゲルT。
傾斜装甲の威風堂々、これぞタンクの阿修羅王、ケーニヒスティーゲル。
128ミリの巨砲をかざす重槍騎兵、陸に上がった駆逐艦、ヤークトティーゲル。
敵味方唖然、ナウシカ・ガンシップが地面を走る! シュトゥルムティーゲル。
並べてみたら、戦車界のトンデモ四天王といった趣だが、
漂う気迫、漲る闘魂、これはもう、ただものではない。
独逸戦車界の、信仰にも近い執念が、妖気メラメラのごとく、
ここに結実しているではないか。
 
敵をブチ負かす、それは巨砲。
敵弾をハネ返す、それは甲鉄。
この単純なセオリーに準じた、分厚く重い体躯に加えて、
「それでも(めりこんでヘタらずに)地面の上を走る」という条件を満たすという、
ギリギリのバランスの上に生みだされた、鋼鉄の究極、地上戦のカリスマ。
それがタイガーの本質だろう。
だから、タイガーの雄姿は、美しい。
 
悲しいかな、行き過ぎた戦車信仰は、
無用の長物マウスにまで行きついてしまったが……
 
闘魂においてタイガーに匹敵するのは、
アメリカ試作戦車のT28であろう。
常識破りの巨砲に、無限軌道を四本履いた潔さ。
「とにかく何としても、地面にめりこまずに走らせてやる」という、
無理を気合いで補ってしまえ、的なエンジニア気質を感じずにおれない。
 
もちろんタイガーは、非道の戦闘機械。
もっと悲しいことに、ヒトラーの手先だった。
しかし兵器として、あまりに凄すぎた。
負けなかったのだ。
海で、空で、結局はコテンパンに負けた枢軸兵器の中で、
タイガーはどうやら、負けずに終戦を迎えてしまったのだ。
なにぶん、独逸の戦車は世界一。
タイガーよりも格下のパンターですら、
倒すにはシャーマン五台と引き換えだったという。
敵弾に前面装甲をブチ抜かれて死んだタイガーはほとんど皆無で、
燃料が切れ、弾も尽きて、やむなく戦場に放棄した例が多かったという。
戦に負けても、その装甲は屈辱に汚されることなく、
魂は死せずして、誇り高き骸(むくろ)を残したのだ。
 
国破れてタイガーあり。
虎は死すとも皮を残す。
祖国は滅んでも、タイガーは滅びず、不敗伝説を残した。
世界に冠たる伝説の虎。
君臨せよ、タイガー。
 
 
 
更新日時:
2010/01/11

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Last updated: 2010/1/11

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