
零戦(れいせん)
零式艦上戦闘機。
好きだ。とくに、この21型。
翼が長い。鳥のように。
この翼の美しさは、スピットにもメッサーにも真似できない。
風の女神が堀越技師に与えたもうた、魔法の造形。
武器としては、グラマンに負けたけれど、
平和なスポーツ・プレーンとしてならば、
零式はきっと今でも世界一だろう。
戦争のために生まれるべきでなく、
戦争の空を飛ぶべき飛行機ではなかった。
物騒な大砲を降ろして優雅に翔びたち、
絹のような雲のスロープを滑れば、
風のステージをふわりと舞い踊る、華麗な妖精。
零(ゼロ)よ甦れ。いつかどこかで。
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