Essay
日々の雑文


 51   20081126●雑感『食えよ国民! “慈恩弘国”入国記』
更新日時:
2008/11/26 
 
 
 
 
食えよ国民! 
ガンダムファンの粉モン食堂、
“慈恩弘国”入国記。
 
 
これは『ガイア、オルテガ、マッシュポテトサラダ』
カーソルを乗せると『ソーラレイ』
 
 
「君は覚えているか。今を去ること三十年前、宇宙世紀0079。『機動戦士ガンダム』という国民的アニメにおいて、ジオン公国の豪勇ランバ・ラル大尉が奮戦虚しく破れたことを。我々は一人の英雄を失った。これは敗北を意味するのか。否! 始まりだったのだ。
JR京都駅よりタクシー2分、東寺の南西すぐに翻るあの旗を見よ。お好み焼きの店『慈恩弘国』で、ブルーのコスプレも鮮やかにコテを振るうマスターは、あのランバ・ラル大尉の雄姿ではないか! 勇者は滅びず、平和な飲食業に復活していたのだ。
 
ここであなたは大尉の捕虜として幸せに働くフラウボウ嬢の笑顔に迎えられるであろう。美味なる戦列の筆頭は、焼きソバ『ソーラレイ』。超巨大ビームを放つコロニーの砲口に似せたタコ焼きの縁取りに、発射光を表現するソバとマヨの爆発的芸術。この閃光を最後に見たレビル将軍とデギン公王を偲ぶべし。そして食せよ。座苦(ざく)、具腐(ぐふ)、怒無(どむ)の顔面お好み焼きを、鉄板に悶えるイセリナ・“シャウエッセン”嬢を、重なり具合が可愛い『ガイア、オルテガ、マッシュポテトサラダ』を。そして呑むべし。一番搾りの『ギレン(キリン)ビール』『フラウボウの気紛れ』カクテルに、エルメス色した『きらめきのララァ』。なお『ガルマミルク』は死ぬほど甘い。なぜだ(坊やだからさ)。そして語るべし。アムロやシャアと共に生きた、諸君らの若き日々を。
 
そうだ、戦いは終わっていない。宇宙を吹き荒ぶ不況の風。我らの敵は連邦軍にあらず、人から夢を奪うストレスなのだ。我々は今、このストレスを結集し、食卓に叩きつけてこそ、真の勝利を得ることができる。だから、起てよ国民! ストレスを食欲に変えて、食えよ国民よ!」
 
 
以上、店内に祭られたギレン・ザビ総帥像から聞いた、魂のお言葉(?)です。
開店日が私の誕生日と同じなので、先日、知人たちと行ってみました。
個人的に美味かったのは『ビグザムもも肉のガーリックソテー』。とはいえ、お味とお値段の価値判断は、あなたの自己責任で。雰囲気のなじみやすさと大尉のサービス精神で、私には納得でしたが。
 
お店のコンセプトは、あくまで、慈愛と恩寵にあふれた弘法さま(東寺の前だから)のお国……でありまして、ガンダムを看板にしてガンダム関連グッズを売っているのではなく、たまたまガンダム好きのファンが集まって、メニューの名前とかでパロディを楽しむといったところでしょう。
 
今のところ、一部の奇態なヲタク筋に占拠されている様子はなく、普通の大人のお客さんが、ガンダムをネタに当時を懐かしむ会話ができるという、なごやかなスペースになっています。ガンダムも、はや三十年。3世代ファンも現れそうなご時世ですが、今になっても最初のファーストガンダムを語らうことのできる場所は、大切なのかもしれません。
「いやーなんといってもガンダムはファーストに限る。あのころはよかった。根性の座ったモノホンの英雄がいた。騎士道があった、正義感があった、人道的ですらあった、戦争は悲劇だった、何よりも年寄りを大事にして年功序列だった。みんなして一丸となってプロジェクトXしてたじゃないか。ひきかえ今の若いモンはなっとらん。何がシードだ、何がダブルオーだ。強くて勝てばそれが正義だと、生意気なことぬかして、成果主義に走りおって。中高年社員を切り捨てにするカイシャみたいに、オールドファンを粗末にするファンダムに未来はない!」
……などと、年寄りのグチも聞ける場所って、なんだかホッとするのですよ。
 
『慈恩弘国』の営業は、今のところ金・土・日の夜だけみたいなので、詳しくはホームページでお確かめ下さい。こちらです。
http://www.ms-06zaku.com/
 
ファンの皆さん、京都へお越しのときは『慈恩弘国』に集って、熱き青春を取り戻してはいかが。
ジーク・慈恩!
 
 


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