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 委嘱委員会のページ

      最終選定作品(4作品)の作者の言葉

  2013/08/26


   組曲「みどりの風に」 4作品・作詞者からの言葉
 
  
4作品に選ばれた4人の皆さんから作詞にあたっての思いや作品への
   思いをお聞きしましたので、掲載させていただきます。


   
      『桜の頃』 作詞にあたって

   桜の頃は、私にとって一番思い出に残る季節です。
   子どもの入園式があったり、新しい学年のはじまりであったり、私が仕事に
   通いだしたのも桜の咲く頃でした。その頃のことを思い出し、うれしい幸せな
   気持ちを言葉にしてみました。
   子どもたちの育っていく未来が、どうか平和でありますようにと願っています。

                           米澤 美智子

  

『ルリビタキ』 詩作にあたって            

  組曲『みどりの風に』を構成する要素として、地域で生活する人々がその地域
   の自然や環境、あるいは文化とどのようにかかわるのかを思い描きながら
   テーマを考えていました。文化の面からは「街道」を、自然や環境の面からは
   「鳥」をテーマに詩作をしました。

  「鳥」については個人的な契機があります。
     数年前から日本野鳥の会に入会して週末ごとに府内の探鳥会に参加し、自宅
   周辺をフィールドにして双眼鏡を携えてバードウォッチングを続けていたこと
   です。「目から鱗」という言葉がありますが、バードウォッチングは「目から鱗」
   の体験で毎回が喜びの連続でした。それは、鳥の羽や目の色の美しさであっ
   たり、はじめて出会った鳥の名前を知る喜びであったり、季節ごとに棲む環境
   を大胆に変える生態への驚きなどです。そうして私は次第に野鳥たちの生活
   の中に意志や感情のようなものを観るようになってきたのです。

  その中に一羽の『ルリビタキ』がいました。雀と鳩とカラスくらいしか知らなか
   った者にとっては、近所の公園にこのような鳥が毎年飛来してひっそりと棲ん
   でいるとは思いもよらなかったのです。彼の存在は私の生活に新たな「感情」
   や「意味」をもたらしてくれました。そのような「感情」や「意味」を表現したいと
   思いました。

  野鳥を観察することでわかったことは、私達が普段いかに人間が生活する層
   しか見ていないかということです。道を歩いては行政の境界線を意識し、水辺
   も丘陵も河川も人間からみた値打ちの層でしか見ていない。自然さえも人工物
   のひとつのように取り扱っているということを。野鳥たちはそんな人間たちが
   「住む」生活層にさりげなく、それともしたたかに?自分たちが「棲む」生活層を
   レイヤリングし続けていたのです。バードウォッチングは世界の見方についての
   ある縛りから私を解放してくれました。

  人間の生活層と野鳥たちの生活層が地域の中でも切り結ばれていることに思
   いをはせる、そのことによって私達の感情や生活がすこしだけ豊かになって
   うれしくなる。

  今回の詩作そのものも私自身の感情や生活をすこしだけ豊かにしてくれたよう
   で、うれしい体験になりました。
 

 ※ ある夏の日、紀伊山地の弥山(標高1895m)付近の登山道で盛んに鳴きながら
    目立ってうろちょろする鳥たちがいて、何だろうとみるとルリビタキでした。
    冬に単独でひっそりと棲んでいる姿とは全く違っていました。調べてみると
    夏期は標高1500m以上の山岳地で繁殖するとのことでした。繁殖のための
    さえずりだったのか、それとも巣立った子どもたちが遊んでいたのか。そんな
    ことを想像するのも楽しいものです。

                                    芝田 敦

  

「小さな音楽会」 に寄せて

    “うた”が心に沁みる瞬間、それは、とんだばやし混声合唱団に入団したことで、
   感じることができた大切な時間です。
   先生の指揮のもと、一心に歌っているとき、突然に“うた”のチカラ、すばらしさを
   ハッと感じることがありました。こうした経験が“うた”になることをイメージして
   詩を書くことに、すごく役立ったと感じています。

   「小さな音楽会」を作詞するきっかけは、とある小学校の合唱クラブにまつわる
   ドキュメンタリー番組を見たことでした。震災のため、様々な事情から離れ離れに
   なってしまった合唱クラブの子どもたち、その子どもたちが再会し、避難所である
   体育館で、みんなに“うた”を歌っている場面がありました。そのとき、子どもたちが
   心を込めて紡ぎだす詩やメロディーに“うた”のチカラを見たように感じ、その時の
   情景を詩にしようと思って作りました。

   
この度は、様々な方にお世話になり、ありがとうございました。 

                            平川 尚三

  

『おもい』 作詞にあたって 

   この詞は今から10年ほど前に作った詩です。題名もストレ−トに『今できること』で
   した。まだまだ今より若く、心根も素直で純粋だったと思います。
   私にできる小さな“おもい”≪そうできることで自分も幸せになれる≫そんな
   ささやかな“おもい”をつづったものです。
   今回それをもう一度今の私で考え、少し手直しをしました。

   今の私にもまだそんな純粋な“おもい”が残っていますように。
   また新たにそんな“おもい”でこの歌がうたえますように。
   源田先生の素晴しい曲を楽しみにしています。

                               貞松 朋子

 

  以上です。4人の皆さんありがとうございました。(委嘱委員会)







No8


           桜 の 頃

 

   まぶしい朝の光あびて

   桜の花びら 輝く

   ほーら 聞こえるよ

   子どもたちの笑い声

   手をつなぎ歩いていく

   大きな瞳

   いつまでも元気でと思っている

   桜の花びら風にゆれて

   子どもたちを見ているよ

   青い空にひびきわたる

   笑い声いつまでも


  

   四月の朝の雨あがり

   空高く 虹 輝く

   ほーら 見えるよ

   子どもたちの笑顔

   公園を走りまわる

   桜いろのほほ

   いつまでも幸せにと思っている

   桜の花びら風に舞って

   子どもたちにふりそそぐ

   空にひらく花のような

   笑顔いつまでも



 
       桜の花びら 風になって

   子どもたちにささやく

   空を飛ぶ鳥のように

   大きくはばたいて

 


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No12


            小さな音楽会

 

     ラーララ、ルールー、ラーララ、ルールー

     海辺の小さな小学校

     そこから流れ出るメロディーは

     はじめは、小さなつぶやきでした。

     そっと、みんなで声をあわせてみたら

     ちょっぴり心配、ドキドキでした。

 

       ラーララ、ルールー、ラーララ、ルールー

     きらきら輝くみんなの瞳

     その懐かしいメロディーは

     元気だった?のあいさつになりました。

     うきうき、みんなで声をあわせてみたら

     だんだん、たのしくてなってきました。

 

    子どもたちの声は、

    しだいに、明るくつよくなり、

    思わぬ別れや悲しみを越え

    喜びあふれて、響きわたる。
 

     ラーララ、ルールー、ラーララ、ルールー

     海辺の小さな小学校

     今、そこから生まれたメロディーは

     さわやかなエールになりました。

     せいいっぱい、みんなで声をあわせてみたら

     明るく生きる希望になりました。

 

    子どもたちの声は、

    しだいに、明るくつよくなり、

    思わぬ別れや悲しみを越え

    喜びあふれて、響きわたる。




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No24

   ルリビタキ     

 
  待っていたよ ニュータウンの公園で

  クリスマスまでには 会えると思っていた

  瑠璃色(るりいろ)の翼 胸にオレンジのワンポイント

  つぶらなまん丸の目は いつものきみ

 
  あるときは 茂みの中をちょろちょろ 

  あるときは 尾羽を震わせたたずんでいる

 
  ラジオ体操のおじさんおばさん 鬼ごっこのこどもたち ゆうべに散歩する犬たち

  誰にも気づかれず さわさわした風の中で きみはひっそりとつぶやくだけ

 
  公園の石畳を踏んで ひとつ先のバス停まで歩くよ

  きみが山に帰る 雪解けの頃まで

  ぼくの街が 瑠璃色の生命(いのち)が入った宝石箱になる
 

  きみのことを知っているのは ただひとり 

  ぼくだけ

   

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No26


           お も い

 

     今 私にできること

     それは ほほえみかえすこと

     いつも いつも 変わらぬ愛を

     あなたが笑顔になれるよう 

 

     今 私にできること

     それは 寄り添い歩くこと

     ゆっくり ゆっくり 転ばぬように

     あなたが歩みを止めぬよう  

 

     今 私にできること

     それは あなたの幸せ祈ること

     今日も 明日も 見つめていたい

     あなたの夢が叶うよう

  

     今 私にできること

     それは 心をこめて歌うこと

     ひとつ ひとつの言葉に添えて

     あなたの心に響くよう




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以上の4作品です。おめでとうございました。  (委嘱委員会一同)