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20060321『ハウルバンド』 |

ハウルバンド
中古DVDについていた応募ハガキを出すと、
我が家へ愉快なバンドがお越しになった。
「世界の約束」など、アニメのテーマ曲から、
往年のなつかしロックまで、
手を振り足を弾ませて
ちゃかぽこ元気に演奏してくれる。
しばしテーブルの上は、魔法のステージだ。
『魔法使いの弟子』に出てくるほうきのように、
「ボクたちがんばってます!」と言いたげな
一生懸命な仕事っぷりが可愛い。
家族、大受け。
しかし演奏が終わると、
ぴたりと止まって動かなくなる。
魔法の時間が過ぎ去って、
黙したエンターテイナーたちは、
孤独に耐えて、どこか寂しい。
ファンタジー流行りの世の中だけど、
魔法が解けて現実に戻ったときには、
孤独感とはかなさも、必ずやってくる。
だから人々は、次から次へと、幻想を追って
ファンタジーを消費し続けるのだろうか。
それはともかく、この景品ほしさに、
親父が娘の名前を借りてハガキを書き、
丸文字で「大好きです。お願い」に続けて、
ピンクのハートマークまでつけていたことは、
大きな声で言えないのである。
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