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1    20060101『神社』

『神社』

ご近所の神社
 
毎年、初詣のたびに、おみくじをひく。
そのお告げだけは、信じることにしている。
今年は末吉だった。
みくじの裏面に『神の教え』が書いてあり、
分野別の運勢に加えて、サービスで、
本年のご教訓を垂れてくださる。
 
昨年は大吉ながら、
「神にそむいて背中を向けりゃ、
前に悪魔が来て笑う」だった。
今年のヘッドコピーは
「無理に入れれば袋が裂ける。
地位も名誉も神まかせ」である。
 
なかなか、手厳しい。
いくら欲を出したところで、
世の中そうそう思うようにならないと
いうことである。
できることを、やろう。
これを書きたいと、願うものを書こう。
 
そう信じたいのだが、現実は、けっこう虚しい。
世間がもてはやす“勝ち組”の正体のことだ。
昨年、人々はホリエモンを誉め讃えた。
しかし1月も末になってみると、
彼が稼いだ巨万の富は、粉飾決算と、
海外口座への脱税による蓄財が支えていた、
ということになるらしい。
社会的な大成功は、アンフェアな手段で、
ズルして得られたものなのだそうな。
 
購入希望殺到の人気マンションは、耐震強度偽装。
儲かるビジネスホテルも、耐震強度偽装。
で、こっちのビジネスホテルは、建築確認後に違法改造。
株式の誤発注。他人のミスに付け込んだ者が大儲け。
安全という某国牛肉は、黙って背骨つきでやってきた。
防衛施設庁からの天下り成功人生は、官製談合が支えていたらしい。
 
みんな、ズルして儲けている。
“勝ち組”になるって、そういうことなんだ。
ズルしても、勝てば官軍。
アンフェアだって、勝てばフェア。
バレても、記者会見で、
「ごめんなさい。十キロスピード違反くらいだな」で
済んでしまうのさ。
だれもが、そう思いはじめたら、どうなるのだろう。
 
おみくじの神様は、ご存じなのだろうか。
 
まあしかし、気を取り直して、書くっきゃない。
正しくフェアに生きる人々が、いまや空想の世界にしか、
存在できないとしても、ね。
 
 
 
更新日時:
2006/10/01

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Last updated: 2010/1/11

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